追求するのは味や見た目だけではない。農業を営み酒造りを行う泰之さんは、気候変動を年々肌で感じており、環境に負荷をかけない酒造りを目指し、2021年に電力の全てを再生可能エネルギーに転換。「電気代は上がりましたが、さまざまな形で節電に取り組み、蔵人の連帯感も高まりました」。過度な冷蔵を必要としない高品質な酒質設計に励み、上槽した酒を最短距離で瓶詰めできるように改善。農業の未来を見据え、14年に山島の郷酒米振興会を結成。農家との関係を強固にし、蔵でも酒米を育てる。白山手取川ジオパークの自然保護のため、酒の売り上げの一部を寄付するなど活動を広め、地域の未来を酒造りでつなぐ。

新日本酒紀行「手取川」吉田蔵u 石川門
●吉田酒造店・石川県白山市安吉町41●代表銘柄:吉田蔵u 百万石乃白、手取川 山廃仕込 純米酒、手取川 大吟醸生酒 あらばしり●杜氏:吉田泰之●主要な米の品種:石川門、百万石乃白、五百万石、山田錦
新日本酒紀行「手取川」仕込み水は手取川の伏流水。中硬水でカルシウムが多め Photo by Y.Y.