でも、同じ日本で同じ教育を受け、「自己分析」など本格的に学ぶ機会もないはずなのに、なぜ、彼らのように「自分の価値観や強みを知って活躍できる人」と、いつまでも「自分の価値観や強みがわからないと悩む人」とが生まれるのでしょうか?

 わたしは、その答えは自分に対する解釈の差にあると考えています。

 一般的には「自己受容感」や「自己肯定感」などとも呼ばれるものです。

 つまり、いつも「強みを活かして望む成果を手にできる人」は、「自分の価値観を大事に生きてよい」「自分にも強みがあるはずだ」「自分ならできる」など、自分に対してプラスの解釈を持っているのです。

 自分に対して否定的な思い込みがほとんどない、ともいえます。

 彼らは「自分にも強みがあるものだ」という思い込みのメガネをかけて、いつも自分のことを見ているわけですね。

人間の脳は「強く意識した特定の情報」が入ってきやすい

 自分にも強みがあるという思い込みのメガネをかけていると、何が起こるでしょうか?

 彼らは「自分にも強みがある」という前提で生きているので、自然と「今日できたこと」や「人から感謝されたこと」「褒められたこと」などに目が向くようになります。そうなれば、もはや生きているだけで記憶の中には「成功体験」がどんどん増えていくことでしょう。

 注意していただきたいのは、これは「能力の差」ではなく、「見ているポイントの違い」、つまりは「かけているメガネの違い」だということです。実際、この現象を裏付けるような実験なども多数存在しています。

 たとえば、「カクテルパーティー効果」と呼ばれるものをご存じでしょうか。これは、カクテルパーティーなどのようにたくさんの人が雑多に会話をしている状況であっても、「自分の名前」を呼ばれたり、「自分の興味のある話題」が発せられると、無意識のうちにその声を拾う、という脳の傾向を明らかにしたものです。

 ボーッと歩いていた帰り道に、好きなアーティストの曲が流れてきてつい反応した…なんて経験をしたことがある方も多いはず。