ヨドバシの店舗で欲しいものがあったらポイントカードを店員に渡し、商品名と注文数・注文量などと、配達の希望時間を伝える。または通販のヨドバシ・ドット・コムで注文する。そのデパートから配送されなくても、都内だけでも10カ所以上あるエクストリーム便の配送拠点から顧客の家に向かう。
そごう・西武にある商品群を、エクストリーム便で配達すれば、リアル店舗がショールーミング化し、通販ビジネスと完全一体を果たす、という差別化ができてしまう。
元々、店舗がショールームと化してしまうショールーミングで問題視されているのは、実売店舗で実際に商品に触れて店員から情報やサービスを得ても、その場で購入せずに、店頭より安価なインターネット通販で買われてしまうことだ。店舗の営業を続ける企業としては避けたいものだが、通販全盛時代の今、それは難しい。だが、逆転の発想でヨドバシには推進できてしまうのだ。
また、その反対にウェブルーミングというショールーミングと正反対の購買プロセスでは、ネットで商品情報を調べてから実店舗に来店して売場で最終確認して購入に至る。これもヨドバシでは、顧客満足度調査の実績でわかるように、双方向性もあり、十分可能だ。
他社には決してまねできないヨドバシ・イズム。それがそごう・西武に浸透した際には、いままで親会社のセブン&アイがセブンーイレブンで目指していた、小売業のオムニチャネル(リアル店舗とネット通販の融合)が完成することも予想される。これが手放した先のヨドバシの手で成し遂げられるならば、なんとも皮肉なことではないだろうか。