「詐欺被害に遭った人の多くが、自分の状況と照らし合わせた内容をネットで検索します。その検索結果に並ぶのは『返金のプロがお金を取り戻します』などのうたい文句が掲載されたサイト。弁護士などの専門家のサイトもありますが、だまされた人を狙う悪質な業者も紛れており、新たな詐欺被害に遭ったという事例も少なくありません。まずは、中立の立場で相談に乗ってくれる公的機関に連絡して、アドバイスを受けるのがベストです」

 悪徳業者は、多様な方法でわなを張っている。自己判断は禁物だ。

「副業詐欺関連の広告は『1日10分だけで1万円』『放置するだけで3万円』などの文言が強調されているのみで、広告やサイトだけでは、仕事の内容がまったくわからないのが特徴です。実態がわからない副業や耳障りのいい投資話は、先方の甘い言葉をうのみにしないようにしましょう。スマホ副業詐欺商法に限った話ではありませんが、“この世に手軽にもうける方法はない”と考える姿勢が、自衛につながります」

 もちろん悪いのは詐欺的行為を働く事業者だ。しかし、誰でもスマホで玉石混交の情報にアクセスできる現代は、心の隙間につけこまれないように注意する必要があるのかもしれない。

<プロフィール>

多田文明:ルポライター、キャッチセールス評論家、悪質商法コラムニスト。1965年北海道旭川市生まれ、日本大学法学部卒業。2週間に一度は勧誘されるという経験を生かして、キャッチセールス評論家になる。キャッチセールスのみならず、詐欺・悪徳商法、ネットを通じた詐欺商法にも精通する。2022年には、自身が旧統一教会の元信者だった過去を告白し、大きな話題を呼んだ。『ついていったら、こうなった』(彩図社)、『信じる者は、ダマされる。 元統一教会信者だから書けた「マインドコントロール」の手口』(清談社Publico)など、著書多数。