収集し、育て、使役する
モンスターとつながる喜び

 まず、「モンスターを使役する」という点に少年少女の心をこの上なくくすぐるロマンがある。「敵を仲間にする」というシステムのゲームは、今ざっと思い返してみると『女神転生』シリーズあたりが走りだったのではないかと思われるが、あちらは仲間にするのがモンスターというより「悪魔」であり、金を渡すなどの生々しい交渉を経て仲間にすることができるなど、全体的におどろおどろしかった。

 その後、使役や育成をテーマにしたゲームは散発的にリリースされたが、メインストリームにはならなかった。

 やがて『ドラクエV』(1992年)に採用された、倒したモンスターを仲間にできるシステムは大変な好評を博し、その4年後、1996年にポケモンシリーズの第1作となる『ポケットモンスター 赤・緑(・青)』がリリースされた。

 これはモンスターの育成・収集がメインテーマとなったゲームで、「主人公自身は戦闘しない」という点が新しかった。主人公はポケットモンスター、通称「ポケモン」を集め、時には現実世界の他のプレイヤーとポケモンを交換し、それらポケモンを自分なりの方向性で育成していくうちに、ポケモンが徐々に「世界で1つだけの、自分のポケモン」となっていく。そのとき、そのポケモンとプレイヤーは、1と0の羅列を越えた強いきずなで結ばれているのであった。