テレアポは本当に衰退するのか?

 では本題の、「インサイドセールスの普及でテレアポは衰退するのか」に話を戻しましょう。筆者の見解としては、「そんなことない」というのが結論です。

 厳密にいえば、テレアポはなくならない。しかし、無作為に関係のないリストに機械的に電話をかける営業は減っていくと考えます。同じように、テクノロジーや顧客関係管理をできずに営業する人は、今後は淘汰されていくでしょう。

 言い換えれば、営業側からアタックするアウトバウンドのテレアポでも、ベストなタイミングで、お客様ごとのニーズに個別最適化された訴求ができる人は、引き続き重宝されるでしょう。

 となると、こうした営業活動をテレアポと呼ぶのか、インサイドセールスと呼ぶのか、単なる言葉選びの差だけなのでは、と考えます。

 ただ、少なくとも私が見てきた「成果を出している人のテレアポ」は、こうした取り組みを以前から行っていました。

 一方で、テクノロジーや顧客関係管理を徹底できずにコミュニケーションを取りつつも、自分の営業スタイルを「インサイドセールス」と称する人は大勢います。

 例えば、何年も前に展示会で名刺交換した相手に対して、「3年前に××の展示会で名刺交換しましたが、覚えていらっしゃいますか?」と突然、電話することが「接点情報の活用」になっているのでしょうか? 恐らく相手は、「いつの話だよ」と冷ややかな反応をするはずです。

 他にも例えば、ウェビナーに参加すると、記入したアンケート情報をもとに後日フォローコールがかかってくることがあります。ある日突然、携帯電話に連絡がきたと思ったら、しばらくやり取りした後に、「事例集をお渡しさせてください!」と急に言われるのです。

 興味もなければ必要もない事例集を送るという行為は、お客様にとってはノイズです。お客様からすれば、それがアポイントの日程調整なのか、必要のない事例集の送付合意なのかは大した違いがありません。

 このように、「テレアポは悪」「インサイドセールスは善」といった言葉遊びをするだけでは、本質的な改善にはならないのです。