多くの企業が実はテレアポを求めている

 また違った観点で、「テレアポ必要説」の是非をひもといてみましょう。まず、事実として、営業代行を24年間続けてきたセレブリックスはいまだに「テレアポ的なアウトコール活動」を求められています。毎月60~70件前後ある営業代行の問い合わせのうち、ターゲットを限定しないBDR(つまりテレアポ的な新規開拓)のご相談が過半数を超えます。

 そうした相談の中には、インサイドセールスの情報発信を積極的に行う企業も含まれます。インサイドセールスのBDRのようにターゲットを限定的にせず、まだ接点を持てていない企業に対して、広くアプローチをすることに需要があるのです。

 それでは、これまでの相談傾向として、どのようなタイミングでアウトバウンドコール(新規のテレアポ)が求められるのか、ご紹介します。

(1)製品の市場浸透度合いが低い

 新製品や新市場を開拓する場合、反響を獲得するマーケティング活動だけではお客様と接点を持てないことがあります。そうした時に、認知拡大や商談機会を得るためアウトバウンドコールが必要です。また、プッシュでの営業活動を“面”で仕掛けることにより、製品やサービスの価値提供がはまる顧客群がどこにあるか、マーケットリサーチをする意味でも効果を期待できます。

(2)営業側が所有するハウスリストには「数」の限界がある

 取引先の拡大や売り上げシェアを伸ばそうとする際には、既存のハウスリストに営業するだけではアタック先が不足する場合があります。そのケースでは、まだ接点のない新規リストへのアプローチが必要になります。

(3)より深い情報を得てナーチャリングをする

 お客様の情報収集やニーズを把握する際に、インサイドセールスのコミュニケーションではなくフィールドセールス(外勤営業)が行うことで、聞ける情報の幅と深さが強まることがあります。その場合は、「アポイントの獲得」にあえてこだわり、フィールドセールスが時間をかけてしっかりヒアリングを行います。

(4)競合より早く接触する

 お客様からの反響を待つだけの営業活動では、複数の競合先とのコンペティションになることがあり、機能勝負や価格競争に巻き込まれることがあります。これを打破するには、新規や既存にかかわらず、アウトバウンドコールを通して一番乗りでお客様に接触する必要があります。タイミングや課題を営業側から設定できれば、提案活動を優位に進めることが可能です。

(5)「どうにもならないこと」はお客様もすぐ商談で相談したい

 法改正や市況動向の変化など経済活動のルールが変わるような、お客様では「どうにもできないような状況」においては、それに対応するために製品導入や環境整備が必要になることも。例えば新型コロナウイルスが流行し外出自粛が求められた直後は、多くの企業がオンライン商談システムの提案を望んだように、緊急かつ重要な状況ではお客様もすぐに商談を希望している場合があります。

 このように、アウトバウンドコール(テレアポ)が不要かどうかは、お客様と企業側の環境によっても変わると筆者は考えます。