終電ギリギリまで残業しているのに仕事が終わらない人と、必ず定時で帰るのに成績No.1の人。この差はいったい何だろう? 努力が成果に反映されない根本的な原因はどこにあるのだろうか? そんなビジネスパーソンの悩みを本質的に解決してくれるのが大注目の新刊『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』だ。
著者は、東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」第1位、フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」4度受賞の北の達人コーポレーション(東証プライム上場)社長木下勝寿氏だ。
本書 の発売を記念し、ビジネスパーソン「あるある」全20の悩みをぶつける特別企画がスタートした。経営の最前線で20年以上、成果を上げられる人と上げられない人の差を徹底研究してきた木下社長にロングインタビューを実施。第16回目は、「転職面接の攻略法」について、教えてもらった。(構成・川代紗生)

勘違いしていました。「成長」と「上達」の違い。

「最も成果を出した仕事は?」
中途採用面接で見られているポイント

──木下さんがいい人材を見極めるために、中途採用面接で必ずする質問はありますか?

木下勝寿(以下、木下):「今まで、もっとも成果を出した仕事についてお話しください」ですね。

──よく聞かれる質問ですよね。候補者のどんなところを見たくて、この質問をしているのでしょうか?

木下:実は、この質問でその人の「伸び代」がある程度予測できると考えています。

──意外です! スキルや人柄を見極めているのかと思っていました。

木下:この質問をすると、回答は、おおむね2パターンに分かれます。

 1つは、「上司から大量の仕事を与えられたのですが、なんとかこなすことができました」というパターン。

 もう1つは、「自分の仕事でこのような課題があると気がつき、工夫して解決しました」というパターン。

 たとえば、同程度のスキルを持った候補者が複数人いて、どの人を雇うべきか迷ったとしましょう。

 そこで確認したいのは、「そのスキルをどうやって身につけたか」です。

 単に、与えられた仕事をこなしてきただけの人より、自分で課題を見つけて努力した結果、スキルが身についたという人のほうが、将来の成長が見込めるからです。

──自発的に課題を見つけられるかどうかの違いは大きいですね。

木下:「与えられた仕事をこなしてきただけの人」は、環境が変われば成長しなくなる可能性があります。

 それに対し、自分の意思でスキルを身につけてきた人は、どんな環境にいたとしてもどんどん自分で課題を発見し、成長していく可能性が高い。

 優秀な人だな、ポテンシャルが高いな、という印象を受けるのは、やはり後者ですね。

圧倒的に成長する人だけがやっていること

──私自身勘違いしていたのですが、『時間最短化、成果最大化の法則』でも、「成長」と「上達」は違う、という言葉が印象的でした。

木下成長とは、「理想の自分」に向かって自分で課題を発見し、自分なりに工夫して勉強や練習をして、それまで持ってなかったスキルを身につけること。

 一方、上達とは「他人から与えられた仕事」を何回もこなすうちに今のスキルが上がること。私は、そう定義しています。

成長の場合、どんなスキルを身につけるかは「理想の自分」が決めます。

上達の場合、どんなスキルを得るかは「他人」が決めます。

上司や同僚など、まわりが求めるがまま、今の自分の延長線上にいろいろなスキルをつけ足すだけでは、あまり大きな変化は起こりません。

勘違いしていました。「成長」と「上達」の違い。(『時間最短化、成果最大化の法則』268ページより)

──「人生を変えたければ環境を変えろ」という話もよく耳にしますが……。

木下:それも、ただ流されて気がついたら環境が変わっていただけなのか、「環境を変える」という行動を自ら取ったのかによって、見え方は変わると思います。

 たとえば、「英語がネイティブ並に話せます」という人がいたとして、「親の都合で海外に住んでいたから話せるようになった」という理由と、「英語が話せるようになりたいと思い、環境を変えるのが一番だと考え、お金を貯めて自力で海外移住した」という理由。後者は「環境を自らコントロールする」力があります。そういう人は伸びるでしょう。

──大きな目的があって、それを達成するために「環境を変える」という手段を選んだ、ということですからね。

木下:「成長するためにはどんなスキルを身につけるべきなのか」「何が成長を邪魔しているか」を自分の力で見つけ出し、行動に移せる人は、数年後、別人のように成長していることがあります。

 成長とは、「理想の自分」と「今の自分」のギャップを埋めること。

 そのためには、時に今の自分が持っている思い込みやしがらみを潔く捨てられるといいと思います。

(本稿は、『時間最短化、成果最大化の法則』に掲載されたものをベースに、本には掲載できなかったノウハウを著者インタビューをもとに再構成したものです)