ドラッグストア業界は戦国時代!
「ドミナント戦略」で勢いをアピール
最初の理由は、ドミナント戦略という経営用語にヒントがあります。ドミナント戦略とはチェーン店経営の鍵となる戦略で、とにかく一定の地域にたくさん出店してその地域を押さえるという戦略です。
同じ地域にたくさん同じチェーン店があるメリットは、配送の手間が合理化できてコストを下げられるうえに、その地域に限っていえば知名度が上がり集客しやすくなります。
例えば、中野駅の北口に出ると中野ブロードウェイに向かうアーケードの入り口にサンドラッグがあって、ブロードウェイの1階にもサンドラッグがあり、なぜか地下1階にもサンドラッグがあります。
これだけ同じチェーンの店舗が密集していると近くにマツキヨやOSドラッグ、ミネドラッグがあっても、「サンドラッグが、一番勢いがあるのかな」と消費者は無意識に思ってしまうわけです。
ドラッグストアチェーンの場合、業界全体は拡大傾向にあるのですが、業界のトップ10は規模的に拮抗していてかつ、それぞれ強みがある地盤が違います。たとえて言えば、戦国時代の戦国大名のようなものです。
東京都心に地盤をもつウエルシアに対して、東側の千葉県松戸市から始まったマツモトキヨシがにらみをきかせ、西側の武蔵にはサンドラッグが、南の相模にはココカラファインが勢力拡大の機会をうかがいます。
名古屋にはスギ薬局が、大阪ではダイコクドラッグが、北海道にはツルハドラッグがそれぞれ勢力を広げながら虎視眈々(こしたんたん)と全国制覇を狙っているような状況です。その結果、全国の群雄が集結する首都圏の都心部においては、ドラッグチェーン同士が近隣に出店して血みどろの戦いを仕掛ける状況が続いているのです。
しかしなぜ、ドラッグストア業界は勢力拡大を狙うのでしょうか。これが2番目のポイントで、その理由は、一般の小売店よりも利益率が高いところに秘密があります。