終電ギリギリまで残業しているのに仕事が終わらない人と、必ず定時で帰るのに成績No.1の人。この差はいったい何だろう? 努力が成果に反映されない根本的な原因はどこにあるのだろうか? そんなビジネスパーソンの悩みを本質的に解決してくれるのが、大注目の新刊『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』だ。
著者は、東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」第1位、フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」4度受賞の北の達人コーポレーション(東証プライム上場)社長木下勝寿氏だ。
本書 の発売を記念し、ビジネスパーソン「あるある」全20の悩みをぶつける特別企画がスタートした。経営の最前線で20年以上、成果を上げられる人と上げられない人の差を徹底研究してきた木下社長にロングインタビューを実施。第18回目は、「チャンスをつかめる人の習慣」について、教えてもらった。(構成・川代紗生)

【気づいてしまった】「いつもチャンスを逃す人」と「必ずチャンスをつかめる人」習慣の違い

「チャンスをつかめる人」のシンプルな習慣

──自分なりに努力しているつもりなのに、なかなかチャンスに恵まれない……という人は、どんなことに気をつければいいでしょうか?

時間最短化、成果最大化の法則』にある法則で、「特にこれをおさえてほしい!」というものがあれば教えてください。

木下勝寿(以下、木下):どれも重要ですが、一つ挙げるとすれば「”たまたま”ではなく”いつも”の法則」。

 本書では、「チャンスをつかめる人の習慣」として提案しています。

【気づいてしまった】「いつもチャンスを逃す人」と「必ずチャンスをつかめる人」習慣の違い

 世の中には、普通では考えられないようなチャンスに恵まれているように見える人や、とんとん拍子でステップアップしている人がいます。

──なぜかいつも取引先の人に気に入られたり、平社員から重要なポジションに大抜擢されたり……やたらと強運に見える人、いますよね。ときどき、羨ましくなってしまいます。

木下:私もリクルートで営業をしていた若手社員の頃は、「どうしてあの人には信じられないチャンスが舞い込んでくるんだろう」と不思議に思っていました。

 でもあるタイミングで、そのようなチャンスをつかめるのは、その人がラッキーだったから……ではなく、いつでもチャンスをつかめる土壌づくりをしているからだったのだ、と気がついたのです。

26歳営業マン→超一流商社の子会社社長に!
チャンスをつかめた理由とは?

木下にも書いたエピソードですが、営業時代の同期に、そういうタイプの人がいました。

 彼は最終的には、26歳という若さで超一流商社のベトナム子会社社長として引き抜かれ、転職していきました。

 それも、ベトナム旅行に行った先でたまたま出会った人の手助けをしていたところを、商社の社長が見つけ、スカウトされたのがきっかけでした。

 彼は、田植えをしているおばあさんがモタモタしているのを放っておけず、田んぼにズカズカ入って勝手に手伝い始めたそうです。

──ドラマのようなサクセスストーリーですね。

木下:そうですよね。でも彼をずっと見ていると気づいたのですが、そもそも彼は困っている人を見ると放っておけないタイプでした。

 どんなときも、どんな人にも礼儀正しく、サッと手を差し伸べる習慣がついていたのです。

 ”たまたま“親切にした1回の場面が偉い人の目にとまり、チャンスを得られていたわけではなかった。誰彼かまわずそうしていたので、100回に1回くらい偶然にも偉い人から声がかかっただけだったのです。

 強運の持ち主で、彼のまわりにだけチャンスがやってくるのではありませんでした。

 誰にも平等にチャンスはやってきているのです。

 チャンスをつかめる人とそうでない人の違いは、「チャンスをいつでも確実につかめる状態」になっているかどうかだったのです。

面接で一発アウトになる
「欠落的欠点」とは?

──自分を振り返ってみると、「気が向いたときだけ」など、100回に1回くらいしか行動には移していない気がします。

 100回中100回、どんなときも親切にするって、簡単なことじゃないですよね。

木下:そうですよね。「”たまたま”ではなく”いつも”の法則」は、「ミス」に関しても同じ考え方ができます。

 自分にとっては100回に1回のミス、”たまたま”のつもりかもしれませんが、そのミスの尻ぬぐいをする相手からすれば、その「1回」がすべてです。

 ”たまたま”のミスだったとは、なかなか思えないでしょう。

──たしかに。一事が万事、ということですね。

木下:はい。わかりやすい例でいえば、面接に遅刻した人。本人にとってはたまたまその1回と思っているかもしれませんが、ビジネスの現場でたくさんの人物を見ている面接官からすれば、「就職面接という人生を左右するかもしれないような重要な場面に、遅刻しないための手を打たない人物」に見えます。

「遠方からきたのですが、渋滞にハマってしまいました」などの理由に関しては「しょうがないね」とか、このタイミングで運が悪いなあと経験の浅い一部の採用担当者は思うかもしれません。

 でも、多くの経験則の高い採用担当者は、渋滞が起こりうる可能性を考えてもっと早く出発する、渋滞とは関係ない電車などの別の交通手段を前もって想定しておくなど、リスク管理はできなかったのか、と思うものです。よって、この人を「リスク管理のビジネススキルが低そうな人」と判断します。

 採用面接は、人生を大きく左右するものです。

 それに対して「絶対遅れない」対策ができない人に、重要な仕事は任せられないでしょう。

 遅刻を甘く見ていると痛い目に遭います。

“たまたま”のミスが
「欠落的欠点」なのかもしれない

──本人は「今回、たまたま遅れちゃっただけなのに」と思っているかもしれませんが、相手にとってはまったくそうではないと。

木下:遅刻グセに限らず、ケアレスミス、タスク漏れ、スケジュールミスなどは、ビジネスパーソンとしての信用力を大きく下げる「欠落的欠点」です。

 周囲は重大ミスととらえているのに、本人は「大したことない」「仕方なく」「たまたま」と思っている。「欠落的欠点」はこうした常識のギャップから生まれます。

 恐ろしいのは、せっかくやってきたチャンスが、「欠落的欠点」によって台無しになってしまうことです。

 この本で、「できる人」の思考アルゴリズムをインストールすれば、チャンスをものにできる土壌が整えられるでしょう。ぜひフル活用してほしいです。

(本稿は、『時間最短化、成果最大化の法則』に掲載されたものをベースに、本には掲載できなかったノウハウを著者インタビューをもとに再構成したものです)