経営トップが覚悟を決めて、
旗を振ることが、変革の推進力を生む

北川 四家さんご自身も、トップマネジメントのひとりとして変革を推進されてきました。そのご経験を通じて、変革を成功させるためのリーダーシップには何が重要だと考えますか?

四家 難しい質問ですね。コマツのような日本の伝統的な大企業では、社内に異質な動きが生じると、それを外に弾き出したりして、正常な状態に戻そうとする力が働きます。そうした正常化の作用が、ある意味では100年も続く製造業を支えてきたとも言えますが、一方で変革への妨げになることも事実です。そうした社内の体質を変えることができるのは、やはり経営トップだと思います。

 トップの人間が、変革を成し遂げるためにどれだけの情熱と覚悟を持っているのか。それを受けて、例えば私のような実行部隊の人間が、社内のリソースを使って、変革をどのように具現化していくのか、考えて実行していくわけです。

北川 日本の企業は、ミドルマネジメントや現場が強いと言われます。とはいえ、変革を実行するには、経営トップが強い意志を持ち、会社全体に示していくことが重要だということですね。

四家 そう思います。コマツの場合も、ミドルや現場には優秀な社員がたくさんいて、彼らは変革に抵抗するわけではないんです。ただ、長年製造業に従事する中で「我々のビジネスはこうあるべきだ」という考えが強く根づき、これまでのやり方を強化することに注力し、それが結果として変化を避けた動きになっているだけです。だからこそ、社内に新しい潮流を生み出し、会社全体を動かしていくには、やはりトップの人間が腹を決め、旗を振っていくことが不可欠なんじゃないでしょうか。