経済的に恵まれない母子家庭に育ち、高校・大学は奨学金を借りて卒業。そのため、1000万円に迫る“奨学金という名の借金”を背負うことになった。そこで、郷里に母を残して上京、東京国税局の国税専門官となった。配属を希望したのは、相続税調査部門。「どうすればお金に悩まされずに済むのだろう?」と考え「富裕層のことを知れば、なにかしらの答えを得られるのではないか?」と思い至ったからだった。国税職員のなかでも富裕層が相手となる相続税を担当するのは、たった1割ほど。情報が表に出てくることはほとんどない。10年ほど携わった相続税調査で、日本トップクラスの“富裕層のリアル”に触れた『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)の著者が、富裕層に学んだ一生お金に困らない29の習慣を初公開する!
金持ちでも年金は頼りになる
【前回】からの続き 富裕層の資産をより強固にしているのが、意外にも「公的年金」です。公的年金は老後の生活の強い支えですが、これは富裕層においても例外ではありません。
仕事や投資から得る収入に加えて年金ももらえれば、質素倹約に努める富裕層なら確実にお金が残ります。そのため、普通は老後になると資産は目減りしていくものですが、富裕層はむしろお金が増えていくというわけです。
厚生年金の最高額の基準とは?
現状のルールでは、富裕層でもきちんと年金はもらえます。受けとれる公的年金は、現役時代の働き方や収入額によって変わりますが、1ヵ月あたりの受取額は会社員などの厚生年金加入者で平均15万円ほど、個人事業主などの場合は約6万円が目安です。
富裕層の場合、現役時代に高い収入を得ていた人が多く、その分、厚生年金の受給額が高くなります。現状のルールでは月給65万円、賞与150万円で厚生年金の最高額をもらえるのですが、会社経営者などの多くがこの水準に達しているでしょう。
税金が優遇される公的年金
この公的年金は、税金の面で優遇されています。受けとった公的年金は「公的年金等控除」を差し引いたうえで課税されるので、税負担が抑えられているのです。たとえば65歳以上の人が年間200万円の公的年金を受けとった場合でも、課税対象となるのは90万円にとどまります。
しかも、年金収入が年間400万円以下の場合、「確定申告不要制度」を使うことができ、所得税の負担をさらに抑えることが可能です。さらに、公的年金の受給資格をもつ人が亡くなった場合などは、「遺族年金」が支払われ、家族の生活の支えになってくれます。これについては税金が一切かかりません。【次回に続く】
※本稿は、『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。