“甘い7年戦争”で有名なザッハートルテ(オーストリア)
かつて王侯貴族たちをも魅了し、“チョコレートケーキの王様”とも称される「ザッハートルテ」。チョコレート入りのスポンジ生地にアンズジャムとチョコレートのバタークリームを塗り、表面をチョコレートでコーティングした、ウィーン発祥のケーキです。艶のある高級感あふれる見た目で、濃厚なチョコレートに甘酸っぱいアンズがアクセントになっているのが特徴。1832年、オーストリアの政治家・宰相のメッテルニヒに仕えていた料理人ザッハーによって考案されました。
今ではオーストリアを代表するケーキとして世界中で愛されていますが、実は“甘い7年戦争”と呼ばれる歴史も。ザッハーのケーキは好評で、のちに息子が「ホテル・ザッハー」を開業するとそこで提供するようになったのですが……。数年後、経営難に陥ってしまい、その際手を差し伸べたウィーン王室御用達のケーキ店「デメル」に門外不出としていたレシピが流れてしまったのです。ザッハートルテを巡る裁判は7年にも及びますが、ホテル・ザッハーのものを「オリジナルのザッハー・トルテ」、デメルのものを「デメルのザッハー・トルテ」と呼ぶことで解決に至りました。