もう一つは、ヘビーユーザーである上位メンバーの顧客とコミュニケーションを図り、協力や応援してもらう仕組みを作るべきだ。

 たとえば、国内最大級のグルメサイトの食べログでは点数に影響力を与えるレビューアーと、定期的にオフ会を実施し、コミュニケーションを取っていた。そこで、新しい構想案の説明を行い、また情報収集をしていたのだ。

 また、作業服の専門店だったが、今では若い女性からの支持も集めているワークマンでは、「公式アンバサダー制度」がある。

 これはSNSでも人気のある、キャンプ好きなキャンパーやバイクのライダーなどに、商品企画案の段階でアドバイスをもらう仕組みだ。

 新商品やリニューアルでの発売の際には、アンバサダーのSNSで告知してもらうことで情報が拡散する。アンバサダーがインフルエンサーとなってプロモーション展開に一役買ってもらえるのだ。

 飲食業界などの顧客満足度(CS)のアンケート調査では、必ずと言っていいほど、「この商品やサービスを他の方にお薦めしますか」という質問がある。ここで「はい」と答えるような、満足度の高い最上位層はパトロナージュ(patronage)といわれ、パトロン(patron)つまりは支援者とみなされる。パトロンとは、経済的に支援し、新たなファン、支持者を増やしていく役割を担うものだろう。この人たちの影響力は計り知れない。味方になれば、新たなファン層の開拓にもつながる「金のなる木」となる。

 このパトロン的な役割を、上位メンバーに担ってもらうことが重要だ。そのために、積極的にコミュニケーションを図ったり、アンバサダーとして応援してもらったりする体制を作るというわけだ。

 こうした手を地道に打つことで、顧客離れは改善していくのではないだろうか。

「いきなり!ステーキ」の場合、上記のデータでは、「肉マイレージ」のダイヤモンドメンバーだけでも2000人いた。この2000人を“パトロン”にしていくことが重要だ。

 しかし、現状では、ダイヤモンドメンバーになるほどのヘビーユーザーだった状態から離脱したメンバーは、例えて言うなら、ファンだった者が、何かをきっかけに「裏切られた」とストーカーに変身してしまうように、「いきなり!ステーキ」の悪口を周囲に言いふらしているかもしれない。

 ダイヤモンドの宝石言葉には、「永遠の絆」もある。「いきなり!ステーキ」の店舗にダイヤモンドを運ぶがごとく、V字回復するためのキーマンとは誰なのか。

 それは離脱したダイヤモンドメンバーが、再来店して“復縁”するかどうかにかかっている。