複雑なのはJR西日本で、まずは京阪神エリアの一部区間にバリアフリー料金を導入。また私鉄との競争が激しい京阪神エリアでは、国鉄時代から他区間より割安な特定区間運賃が設定されていたが、一部で割引を縮小した。
また、山陽新幹線や在来線特急の指定席特急料金の値上げ、特定特急料金(割引特急券)の縮小、新幹線と在来線特急の乗継割引廃止など、さまざまな値上げが積み上がった運賃・料金改定となった。
その他、2023年度に運賃改定を予定しているのは、JR四国が5月20日に普通運賃が平均改定率12.5%、通勤定期は28.14%、通学定期は22.4%の値上げをし、あわせて地方交通線に関する特定運賃、瀬戸大橋線に関する特定運賃を廃止する。また指定席特定特急料金の廃止など、料金についても改定する。これらをあわせて9.4%の増収を図るとしている。
10月1日に運賃改定を実施するのが南海電鉄、10月の実施に向けて認可申請中なのが新京成電鉄、京王電鉄、京急電鉄だ。南海は平均改定率10.0%で、初乗り運賃は160円から180円となる。新京成電鉄は全区間で20円値上げし、初乗り運賃は147円(IC運賃、以下同)から167円となり、全体で12.4%の増収を見込んでいる。
京王の運賃値上げは、消費税改定を除けば1995年以来28年ぶりで、平均改定率は13.3%、初乗り運賃は126円から140円に値上げ。あわせて相模原線の20~22キロ区間に残っていた加算運賃20円を廃止する(それ以外の区間は2019年に廃止済み)。
面白いのが京急だ。平均改定率は10.7%だが、その内訳は一律ではなく、かなりメリハリをつけた内容となっている。初乗り運賃は157円から180円と平均を超える14.6%の改定となるが、距離が長くなるほど改定率は下がっていき、21~25キロ区間では314円から347円と平均に近い10.5%の改定だ。
そして41キロ以上(品川基準で追浜以遠)になると改定率はマイナス、つまり値下げに転じる。41~45キロは576円から566円、最長区間の61~65キロは870円から740円となり、新たな需要創出と沿線活性化を目指したいとしている。需要の減少が止まらない三浦半島の輸送をテコ入れしたいという狙いだ。