「終電ギリギリまで残業しているのに仕事が終わらない人」が、「必ず定時で帰るのに成績No.1の人」に変わるためには、どうしたらいいのだろう?
そんな悩みへの実践的な解決策が、『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』では見事に解説されている。
著者は、北の達人コーポレーション(東証プライム上場)社長・木下勝寿氏だ。
本書はベストセラーとなり、多くの経営者から評判の一冊だ。TBSテレビ系『がっちりマンデー!!』のSNSでは「食べチョク」秋元里奈代表が、「2022年に読んだオススメ本3選」として本書を紹介した。木下さんは、秋元さんにとって尊敬する経営者の一人だという。
そこで本連載では、多くのビジネス書を読み、経営の勉強をしてきたという秋元さんに、『時間最短化・成果最大化の法則』の活用術を教えてもらうことに。自身も著書『365日 #Tシャツ起業家』でその仕事論を綴った秋元代表は、先輩経営者の思考術を、どう読み解いたのか。連載6回目は、「『やりたいことがない』コンプレックス」をテーマに、話を聞いた。(構成・川代紗生)

優柔不断な人でも、今日から行動量が10倍になるたった1つの法則

「やりたいこと」はその世界に行かないと見つからない

──秋元さんは著書『365日 #Tシャツ起業家』で、DeNA入社後3年は、「やりたいことがない」ことがコンプレックスだった、と書かれています。

 同じような気持ちを持つ若手社員は多いと思いますが、やりたいことを見つけるためには、どんなきっかけが必要だと思いますか?

秋元里奈(以下、秋元):必ずしも「やりたいことがない」からといって、焦る必要はないと思います。

 与えられたことの中にやりがいを見つけるのも一つの才能ですし、はじめは「やりたいこと」ではなかったものの、次第に面白さを見出せるようになることもあります。

 ただ、「やりたいこと」は突然、見つかったりもします。

 ちょっと出かけた場所で、突然、「これだー!」と気がつくこともある。

 結局、「やりたいこと」はその世界に行ってみないと見つからないものだと思うのです。

やりたいことは「情報量」×「メタ認知」の掛け合わせで探そう

秋元:そう考えると、「やりたいこと」を見つけるために大切なのは、「情報量」と「メタ認知」、この2つの要素の掛け合わせだと思います。

 まず、たくさん仕事をこなし、いろいろな知見を入手しながら情報量を増やす。

 そのうえで、情報を取捨選択するために、自分自身をメタ的に観察し、正しく理解する。

「私はこういう人間」と主観的な印象だけで自己完結するのではなく、第三者に自己開示し、客観的な視点も取り入れられると、必要な情報を選びやすくなります。

 私も、農業を仕事にしたいと気がつけたのは、「実家が農業って、面白いね!」という第三者からの言葉があったからでした。

 「他人からは、そういうふうに見えるんだ」と、自分の強みやルーツを客観的に理解したことで、ようやく「農業の領域で起業する」という選択肢が出てきたのです。

行動量を10倍アップさせる方法

──『時間最短化・成果最大化の法則』の中でも、やりがいやモチベーションについての論点がいくつかありましたが、特に印象的な項目はありましたか?

秋元:真っ先に浮かぶのは「ピッパの法則」ですね。

 「ピッパの法則」は、「ピッと思いついたら、パッとやる」を合言葉に、「面白そうだな」「気になるな」と思ったら、思いついた瞬間にやる。

 その場ですぐにできない場合は、いつやるかをその場で決める。

 すると、タスクを滞らせず、次々にこなしていくことができる、というもの。

 木下社長は、以前はアイデアを10個思いついても1個しか実行していなかったのが、「ピッパの法則」のおかげで10個全部実行できるようになり、行動量が10倍になったとこの本で書かれていますが、やりたいことを見つけるうえでも、この考え方がとても大事です。

 振り返ってみると、私も選り好みせずに「多動」を心がけてきたのが今につながっているのかな、と思います。

「やりたいことがない」と悩んでいる人は、もしかしたら、まだ出会えていないだけかもしれません。

 日々のやるべき仕事を優先し、やりたいことを見つけるための行動が足りていないだけ、ということも考えられます。

 まだ見えていない世界にやりたいことが眠っているかもしれません。

 仕事でいっぱいいっぱいの状態をやめて、キャパを増やしたい。「面白そうだな」と思いつつ先送りにしていることを、全部行動に移したい。

 そういうときこそ、「ピッパの法則」で動いていけるといいと思います。