成績がなかなかアップしない受験生の共通点
──ますます親のあり方が問われてきますね。
富永:同じ学校、同じ塾に通っていても、自分で計画立てて学べる子とそうではない子がいます。
その差は一つひとつは小さくても、日々積み重なっていくうちにどんどん開いていきます。
では、その差がどこから来るのかについて、子どもはもちろんのこと、親もわかっていないことが多いのです。
多くの親は、ただ漠然と「うちの子は勉強ができない」とか「もっと成績をアップさせたい」と思っています。
一方で、「うちの子は、この科目のここが苦手なので克服させたい」と具体的に理解している親もいて、後者は結果につながるスピードが圧倒的に速いんです。
西岡:要は「分解能力」ですよね。
たとえば「英語ができない」と言っている子は、一生、英語ができるようにはなりません。
一口に英語と言っても、英単語、英文法、長文読解、リスニング……などいろいろあります。
それらのなにがわからないのか。英単語力が不足しているなら、それは中学レベルなのか、高校レベルなのか。英検ならどの辺りなのか。一度覚えたのに忘れてしまっているのか、そもそも学んでいないのか。
頭のいい学生は、そうした分解ができており、自分のやるべきことがわかっているから計画を立てられるわけです。
富永:東大の入試は「難しい」の一言で括られがちだけど、東大の入試ほど多くのところで分析されている問題はありません。
それに、点の取り方もあちこちで議論されています。そうした材料を活用できた人ほど、高い確率で合格しますね。
勉強の成績がなかなか上がらない受験生に多いのは、漠然と問題に向かって、漠然と失敗しているケースですね。
中学受験でも、必要なのは戦略性です。
子どもが勉強を嫌いになる瞬間
富永:細かく分解していくと、具体的にどこが足りないのかわかってきます。各科目でそれを積み重ねていけば、そんなに苦労はしません。
ところが、保護者はマクロで見て「わあ、大変」となってしまうのです。
西岡:褒め方についても同様のことが言えますよね。
数学がすごく苦手な子が、数学で点数を上げたとしましょう。
数学の勉強に時間をかけたから、他が疎かになって全体の点数は下がってしまうということは充分にありえます。
こんなとき、分解ができている親なら、褒めるはずです。
でも、全体を漠然と見ていたら叱ってしまいます。
子どもからしてみたら、数学を頑張れと言われたから頑張って点数を取ったのに叱られた。
間違いなく、勉強が嫌になる瞬間じゃないでしょうか。
【対談第2回に続く】