突然だが、あなたの職場の「仕事ができる人」を何人か思い浮かべてみてほしい。おそらくその人たちには、「数字に強い」という共通点があるのではないだろうか? 
全国3000社が導入し、大きな反響を呼んでいるマネジメント法「識学(しきがく)」の代表・安藤広大氏の近刊『数値化の鬼』は、まさに「数字に強くなる=仕事ができるようになる」という発想で、「数値化」の思考法を伝授する1冊だ。
本稿では、シリーズ累計70万部を突破している本書より一部を抜粋・編集して、なぜかいつも成果を出せる「要領のいい人」の“思考のコツ”を明かす。(構成/根本隼)

「要領のいい人」の“思考のコツ”ベスト1Photo:Adobe Stock

要領のいい人=変数を見つけることが得意

 仕事においてもっとも重要な能力は「変数を見つける」ことです。この考え方ができるかどうかが、成果に直接つながるので、ぜひマスターしましょう。

 たとえば、店舗スタッフとして「1ヶ月で100万円を売り上げる」という目標があるとしましょう。1ヶ月が経ったあと、売上は80万円だったとします。

 売上が足りなかった理由は、いくつも考えられるはずです。

・1ヶ月のうち、10日間も雨が降った
・アルバイトの学生が2人も辞めてしまった
・新商品が期待ほど売れなかった
・リピーターが獲得できなかった

変数と定数を見極める

 これらの理由のうち、まずは「変えられないこと(定数)」を考えます。

「雨が降ること」はどうしようもできませんね。他の店舗や競合も同じ条件ですし、対策がありません。また、「アルバイトの学生が辞めたこと」と「新商品が売れなかったこと」に関しては、ある程度の改善は必要かもしれません。

「業務が多すぎるので減らしてほしい」という要望があったり、新商品に対して「説明が足りない」というクレームがあったりする場合は、それらに対処することは大事です。

 ただ、不確定要素も多いので、ここでは「リピーターの獲得」を変数に設定してみましょう。

 その場合、ちゃんとリピーターになってもらうために、

●顔と名前を覚えて接客する(名前を1回は口にする)
●ポイントカードや割引券を渡し、回収率を割り出す
●新商品や他の商品も説明し、次回の来店で試してもらえる確率を上げる

 などが、それぞれのプレーヤーの行動となるでしょう。

 そして、うまくいく方法が見つかれば、それを続ける。成果が出なかったらやめて次を考える。その確認と改善を、数字の変化を見ながらやり続けることです。

「リピーターを増やす」という軸がブレないことが大事です。

「変数を見つける」という思考が軸がブレないことが重要

 もし、これらの行動を実践し、配布した割引券の回収率が上がり、明らかにリピーターが増えたとします。さらに、売上も増加し、「1ヶ月に100万円」という目標に近づけたのであれば、「『リピーターの獲得数』が変数だった」と言えます。

 それとは逆に、リピーターが増えたにもかかわらず、売上が増加せず横ばいだったり、下がったりした場合はどうでしょう。

 そのときに、「それでも『リピーター』を増やすべきだ」と考えてしまうのはNGです。その他に、売上をあげるための「変数」があるはずなので、それに考えを切り替えます。

 というように、「変数が何なのか」という軸を持つことで、仕事の目標設定がブレなくなります。つねに「変数」を考えるようにしましょう。

(本稿は、『数値化の鬼』より一部を抜粋・編集したものです)