注目テーマをメッタ斬り! “人気株”の勝者・敗者#14

AI活用の波が、人材業界にも押し寄せている。人材派遣の仕事の一部はAIによる代替が進むとみられ、人材紹介ではAIマッチングの活用が進んでいる。特集『注目テーマをメッタ斬り!“人気株”の勝者・敗者』(全18回)の#14では、パーソルホールディングス(HD)の和田孝雄社長への直撃インタビューを敢行。AIが人材ビジネスをどう変えるのか。さらに、業界トップを走るリクルートホールディングスをはじめ、競合他社に負けないポイントを和田社長に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

人手不足は人材マーケットに追い風
派遣事業は今後も拡大する

――人手不足が進んでいます。パーソルホールディングス(HD)にはどのような影響を与えますか。

 そもそも、「人手不足」というのは日本経済にとって決していいことではないですね。このギャップをなんとか回収しないと、経済は立ち行かなくなります。

 この人手不足には二つの側面があると思っています。

 一つは適材適所に人がいないという不足感。分かりやすい例では、求職活動をしている人が、情報やスペック、地域などの問題で適切な仕事が提供されていないという状態です。

 もう一つは、今は職に就いているけれど、仕事の機会が提供されていないという不足感です。転職活動をしていなくても、今の企業で自身の活躍できる場がない、いわゆる社内失業者です。

 これらの不足感を改善する役割が担えるので、マーケット的にはわれわれにとって追い風です。

――セグメント別に見ると、パーソルHDの人材派遣の受注数は、コロナ禍でいったん減少した後に回復し、稼働者も右肩上がりが続いています。今後もこの傾向は続くのでしょうか。

 続くと思います。今はマーケットや世の中の需要の変化に対して、企業が業務や事業そのものを大きく転換せざるを得ない時期です。

 そういう変化のタイミングでは、人材派遣の活用は企業にとってリーズナブルで有効性が高いです。今後5年程度はこの傾向が続き、人材派遣も拡大基調だとみています。

――ChatGPTが登場して、仕事が代替されるという見方が強まっています。よくいわれる、AIが事務系派遣の仕事を代替するという見方についてはどう考えていますか。

和田社長は、AIで事務系派遣の仕事の一部が代替されてもなお、人材派遣がさらに拡大すると言う。次ページではさらに、業界トップを走るリクルートホールディングスをはじめ、競合他社に負けないポイントを聞いた。