注目テーマをメッタ斬り! “人気株”の勝者・敗者#16Photo:Narumon Bowonkitwanchai/gettyimages

産業界における先端技術の要として、グローバルに需要拡大期待が大きいのが半導体だ。一方で、直近は半導体製造装置メーカーの業績が減速傾向にあり、にわかに不安も入り交じる。そこで、『注目テーマをメッタ斬り!“人気株”の勝者・敗者』(全18回)の#16では、主要関連銘柄の四半期別売上高の前年比増減率をたどりながら、各社の明暗を分析。その上で有力個人投資家に、この業界の関連銘柄として「半導体商社株」を推す理由や、有望と考える具体的な銘柄を明かしてもらった。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

省人化や省エネルギー化の流れが
中長期的な半導体需要増に寄与

 直近の市況悪化などで、先行き不安と需要拡大期待が入り交じるのが半導体業界だ。市況サイクルに業績や株価が左右される宿命を負うが、このところはコロナ禍を受けて発生した経済活動再開後の深刻な供給不足が一巡。むしろ足元は下振れリスクに直面し、主要な半導体製造装置メーカーの業績も減速傾向にある。

 ただし、大和証券の杉浦徹アナリストは、中長期的に考えれば「産業界で進む省人化や省エネルギー化の流れは、明らかに5~10年単位で半導体の引き合いを押し上げていく」と指摘。世界の通信網が拡大を続ける中、データセンター向けのほか、AI関連でも半導体の需要増を促す可能性があるとみる。つまり、市況の動向に揺さぶられながらも、長い目で見れば、成長への期待は大きいのだ。

 何しろ、「産業のコメ」とも称される半導体は、経済安全保障の観点からも重要性が高まり続けており、先端技術を巡る米中覇権争いの中枢を成す存在。株式市場でも、最近は常に注目度の高い業界だが、当然ながら、手掛ける領域や強みによって銘柄ごとの期待の度合いは異なってくる。

 そこで次ページでは、日本勢が世界でも競争力を持つ半導体製造装置の分野を中心に、主要関連銘柄の四半期売上高の推移などを通じて、成長性や株価の上振れ余地を大分析。製造装置の「前工程」を手掛ける東京エレクトロンやレーザーテック、「後工程」を担うアドバンテストやディスコ、デバイスメーカーのルネサスエレクトロニクスなど7社をピックアップする。

 さらに、2022年11月に『サラリーマン投資家が10倍株で2.5億円』を上梓し、これまで67銘柄の10倍株を保有した個人投資家の愛鷹氏が、半導体の関連銘柄として昨今、なぜ「半導体商社」にも関心を寄せるのかを明らかに。有望視する複数の具体的な銘柄と併せて大公開する。

図表:SAMPLE 半導体関連銘柄の株価成績表