日韓首脳会談は
シャトル化しただけで成功

 その尹大統領は5月7日、ソウルに岸田首相を迎えた。

「尹大統領は(徴用工問題で妥協し)支持率低下を覚悟の上で日本に来てくれた。次は私がソウルに行く」

 律義にもこう語っていた岸田首相を、尹大統領は笑顔で迎えた。そして首脳会談でこのように切り出した。

「過去の歴史が完全に整理されなければ、未来への協力のために一歩も踏み出せないという認識からは、抜け出さないといけない」

「良い変化の流れを最初に作ることは困難だが、一度作られれば大勢になる場合が多い」

 これらの言葉は、過去の歴史問題の解決よりも、未来に向けた協力を優先する姿勢を改めて示したものだ。両国の間にはまだまだ解決すべき問題はあるものの、3月16日の尹大統領来日に続き、今度は岸田首相の訪韓と、わずか2カ月足らずの間にシャトル外交が本格化したことは、「対北朝鮮」だけでなく「対中国」という点でも評価していい。