トヨタの連結子会社は、国内・海外合わせると559社(22年3月末時点)、関連会社などは169社もある。
この中で、先の4月24日に執り行われた「故豊田章一郎名誉会長お別れの会」で委員長の豊田章男氏に続き副委員長として名を連ねたのが、“トヨタインナーグループ”と呼ばれる17社のトップらである。その中には、源流の豊田自動織機の大西朗社長に、日野自の小木曽聡社長、ダイハツの奥平総一郎社長も入っている。小木曽社長、奥平社長はともにトヨタの開発エンジニア出身だ。
トヨタグループのインナー(直系)の完成車メーカーは、トラック・バスの日野自(トヨタが50.14%出資)と軽自動車・小型車のダイハツ(同100%出資)の2社であるが、近年は商用車のいすゞ自動車(21年に5.02%出資)、軽・小型車のスズキ(19年に4.94%出資)に加えて、乗用車系ではマツダ(17年に5.05%出資)、スバル(19年に20%に引き上げて持分法適用会社に)がグループ入りしている。
昨年不正が発覚して信頼回復と業績打開に苦しむ日野自と、バス事業では合弁化しているとはいえライバル関係であるいすゞがグループ内に併存していることによる商用車の方向性の問題や、国内で軽市場のライバル同士であり新興国市場でも競うダイハツとスズキの関係をどう進めていくのかという問題が、かねてトヨタグループの課題ではあった。
トヨタの14年ぶりのトップ交代にあって、佐藤新社長がチームトヨタの「キャプテン」なら豊田章男新会長はトヨタ及びトヨタグループの「総監督」の位置付けとなる。
今回、くしくもダイハツ、日野自という直系グループ企業の不正問題からガバナンス・コンプライアンスの改善や是正に向けて豊田章男会長の主導権が強まる中で、トヨタグループ全体の「再構築」へと発展する可能性も出てきたといえよう。
(佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆 佃 義夫)