中国で管を巻くのは“安酒を飲む出稼ぎ労働者”
都心の泥酔サラリーマンといえば、東京在住の中国人留学生たちが必ずといっていいほど話題にする“日本ならではの社会現象”だ。
中国人留学生の王さん(仮名)は、山手線の車内で酔っ払ったサラリーマンから絡まれた体験を持つ。
「いきなり私の前に立って『付き合ってください』と言って自己紹介を始めたんです。中国にいる母親にこんなことがあったと話したら、『日本は危ない、早く帰ってきて』と言われました」
別の中国人留学生は「東京では昼間から居酒屋でお酒を飲む人もいるようだけど、競争社会の中国では考えられない。それでも生きていられるってすごいことです」と話していたが、このような“前向きな評価”の中には「泥酔サラリーマンが象徴するのは日本の治安のよさだ」とする意見もあった。
これに同意するのは、大阪在住の吉田さん(仮名)で、2010年からの上海駐在期間を次のように回想する。
「当時の上海では、酔っ払って隙を見せれば身ぐるみはがされるといわれていて、誰かが必ず家まで送って行く習慣がありました。上海で酔っ払って寝ている人は見たことはなかったし、ましてや泥酔サラリーマンなど皆無でした」
上海出身の留学生も「そもそも中国人のサラリーマンは深酒をしません。管を巻いているのは“安酒を飲む出稼ぎ労働者”というイメージが強いです」と話す。
一方で近年は監視カメラが中国の街角のあちこちに配備された。こうしたことからすれば、うかつに泥酔もしていられないというのが実情なのかもしれない。