上場会社のコーポレートガバナンス改革は待ったなしだ。もしも対応が遅れれば複数のアクティビストが集結する、スウォーミング(群がり)という事態が待ち受ける。本業に集中したい会社経営者にとってみれば、アクティビストは1社でも大変なのに複数のプロ株主に次から次へと高い要求や改善を迫られるのは、悪夢でしかない。特集『激安株を狙え』(全13回)の#8は、具体的な「防衛術」を紹介する。(アジアパシフィック・アセットマネジメント代表 末冨 純)
複数アクティビストが群がる「悪夢」
“疑似ウルフパック”が増加の予兆
アクティビスト投資が広がる今、企業にとって懸念される脅威がある。同じ企業に複数のアクティビストが群がる「スウォーミング」と呼ばれる状況だ。
最近では米ソフトウエア大手のセールスフォースが、4社以上のアクティビストに直面している。海外などでは複数のファンドが企業に一斉に攻勢をかけて要求を勝ち取る、ウルフパック(群狼)という典型的な戦術があるが、アクティビストが示し合わさずに群がるスウォーミングは、いわば“疑似ウルフパック”だ。
多くのアクティビストは今、かつてのように強圧性をてこに増配などを迫る戦術は取っていない。初期のアクティビストが日本社会から追放された失敗を踏まえたものであろう。
また経営権を取りにいくような急速な株式の買い上がりも判例などの積み重ねである程度抑えられている。しかし仮に企業1社に対して株式保有比率10~20%程度のアクティビスト2社、3社が別々に、だが同時に現れるとどうだろうか。
そんな悪夢のような事態に陥らないために、全ての企業が知るべき最新“防衛術”を次ページで公開する。