岸田文雄首相が韓国を訪問した際に、元朝鮮半島出身労働者(徴用工)の心情に寄り添った発言をしたこと、そしてG7の際に尹錫悦大統領と連れ立って広島にある韓国人原爆解犠牲者慰霊碑を訪問したことは、韓国で肯定的に評価されており、それが雰囲気を変えるきっかけとなった。

 とはいえ、左翼系のハンギョレ新聞は、韓国外語大学名誉教授のイ・チャンヒ氏に電話インタビューし、「今後、韓国と日本が共同で被爆者や遺族に積極的な賠償措置を取るのであれば、参拝の真正性が証明されるだろう」とさらなる行動を求めている。それでも共同で参拝したこと自体についての批判はない。

 一方、韓国がいつまでも日本に謝罪を求め続けることについては疑問の声が上がっており、それを朝鮮日報や中央日報といった保守系のメディアが中心となって伝えている。

 中央日報が尹錫悦大統領の就任1周年に際して韓国ギャラップに依頼した調査では、職務遂行についての肯定評価は38.5%、否定評価は57.6%であったが、肯定的評価の第1位は外交・国防であり、日韓関係改善と日米韓安保協力強化については国民の72.2%が賛成であった。

 また、G7後に発表されたリアルメーターの調査結果によると、尹錫悦大統領の支持率は39.0%で、前週から2.2ポイント上昇した。国賓として米国を訪問した4月から4週連続の上昇であり、支持率が4週連続で上昇したのは尹政権発足後初めてある。

 尹錫悦大統領の外交については見直されつつあるということだろう。

 こうした世論調査を見れば、尹錫悦大統領が進める実利外交に対し、国民世論は期待しており、歴史問題に対する尹錫悦大統領の姿勢についても受け入れられてきているのではないか。

 いつまでも日本に謝罪せよという、野党「共に民主党」、市民団体や左翼系弁護士の声が国民の耳に響かなくなる日も近いのではないか。