岸田首相の温かい言葉が
韓国人の心を開かせた

 韓国国内に元徴用工に対する「おわびと反省」を求める声が依然として大きいことを踏まえ、岸田首相は訪韓時の首脳会談後の共同記者会見で、「当時厳しい環境の下で多数の方々が大変苦しい、そして、悲しい思いをされたことに、私自身、心が痛む思い」と述べた。

 この言葉に対し、中央日報は共同記者会見という公式席上で、「強制徴用被害者の苦痛に共感する発言」であり「最近数年間、強制徴用被害者を『旧朝鮮半島出身労働者』として責任を回避していた日本政府の立場から大きく変化した」内容だとコメントした。

 韓国政府高官は「事前に我々に伝えられた内容でなかった」「現場にいた日本の官僚も非常に驚いた表情だった」「岸田首相は韓国国民に気持ちを伝える方法を一人で悩み、決断したものとみられる」と岸田首相の決断を評価した。

日韓両首脳による慰霊碑参拝が
和解の契機になる可能性

 韓国人原爆犠牲者慰霊碑は、在日本大韓民国民団広島県地方本部の主導で1970年4月に設置され、在日韓国人らの要望で、1999年に平和公園内に移設されていたものである。1945年8月6日の原爆投下により、2万人余りの韓国人が命を奪われていた。

 参拝を終えた尹錫悦大統領は「韓国人原爆被害者に対して追悼の意を伝えると同時に、平和な未来を準備するための岸田首相の勇気ある行動として記憶される」と強調した。また、大統領室関係者は「これまで両国が過去の歴史問題を解決するために、言葉を中心に行ってきたが、今回は実践した」と評価した。

 尹錫悦大統領はこれに先立って広島近辺に住む韓国人被爆者と面会し、「大韓民国の大統領として遅ればせながらお目にかかり、申し訳ない」「悲しみと苦しみを味わった現場で、故国が手を差し伸べられなかったことを心からおわび申し上げる」と述べた。

 両首脳の参拝について韓国の専門家の間から「和解の歴史に進む決定的な契機になる可能性がある」との指摘が出ている。

 国民大学の李元徳(イ・ウォンドク)教授は、「1970年にブラント西独首相(当時)がポーランドのワルシャワ・ゲットー蜂起記念碑の前でひざまずいた1枚の写真が持つ象徴性は相当な意味がある。韓国の立場で持続的に『不十分』だと評価してきた理由が日本側の言葉ではなく行動がなかったためという観点から、今回の共同参拝を見る必要がある」と述べた。