アクセンチュア、ソニー、リクルートは
アルムナイのおかげで成長した
そこでは退職者同士、お互いの悩みを打ち明けあい、ビジネス上で困っていることを助け合っている実態がありました。
「会社を離れると肩書も通用しなくなる。それでもアクセンチュア出身者がビジネス界で成功する事例が増えれば力になる。こうやって元仲間が助けてくれる風土を意図的につくりあげることは重要なのだ」
これは西暦2000年頃の話なのですが、それをWeb上で当時のアクセンチュアが行っていたのです。「ずいぶん違うな」と感心したものです。
その当時の日本では、アルムナイネットワークが強いことで知られる会社は数えるほどでした。アクセンチュアはそのひとつで、他に名前がよく挙がるところとしては、リクルートとソニーがアルムナイの絆の強さで有名でした。
ソニーには当時、ソニーを退社した人たちのソバの会という組織がありました。ソバとはSONYのOBのASSOCIATIONの略だと言われたのですが、もし間違っていたらごめんなさい。
私によくしてくれた先輩がちょうどソニーOBで、転職した上場企業の常務まで上り詰めたうえで自分の会社を立ち上げた人だったのですが、彼はソバの会に出るたびに元気をもらっていたようで、直後に会ったりするとその場でどんなことがあったのかよく話してくれました。
伝聞ではありますが、その雰囲気を解説すると、その頃のソバの会にはよくソニーの現役のトップが来たそうなのです。テレビのWBSとかでよく見かけるぐらい偉い人です。
その人がソバの会では「偉くない」ところがポイントで、社外で成功している人の方が偉い雰囲気がある。だからみんな後ろを振り返らずに元気をもらって帰ってくるという話です。あくまで個人の感想かもしれませんが、雰囲気の伝わるエピソードだと思います。
リクルートでは元リクと呼ばれる人的ネットワークがあって、何百人もいる伝説の元社員を中心に、巨大な交流ネットワークが出来上がっています。それが公式な組織ではなく、無数に存在する個人同士がつながるアメーバのようなネットワークになっているところが面白い。
離れていても「元リク」だとわかるだけで急に打ち解けるような、不思議な資格にもなっています。
さて、これら3社は今でも存在感の強い大企業です。何かと不安定な要素が多く人材流出の激しい現代でも3社がトップ企業の座を守ることができている理由の一つは、「アルムナイネットワークの強さ」ではないかと思います。
一方、前述した3社のアルムナイネットワークと比較すると、冒頭でお話ししたような銀行のアルムナイネットワークは構築しはじめたばかりの新参者です。報道によれば、みずほFGではカムバック採用も10人規模で行われているようですが、ある意味その程度の規模でもあります。
こういった状況の日本企業は、これからアルムナイネットワークをどうしていくべきなのでしょうか? 三つのポイントがあると思います。