方針転換で積極的にハコモノ建設に
リニア反対との整合性は?
川勝知事は、「コンクリートから人へ」とうたって政権交代を果たした民主党(当時)の推薦を受けて当選したこともあり、「ハコモノ建設計画は白紙」などと公共事業を止めるという公約で知事に初当選した。それにもかかわらず、展望施設「日本平夢テラス」(静岡市)や「静岡県富士山世界遺産センター」(富士宮市)、「静岡空港旅客ターミナルビル」(県有化して増改築、牧之原市)、「ふじのくに茶の都ミュージアム」(島田市)など、積極的にハコモノを造ってきた。浜松市西区に新たな野球場を建設する計画も進んでいる。
この際、自然環境は、生態系は、虫一匹、鳥一羽、魚一匹の生存権に至るまで、一切破壊しなかったのだろうか。
現在建設中の「伊豆縦貫自動車道」(静岡県沼津市を起点とした、下田市に至る約60kmの自動車専用道路)は、どうなのだろう。川勝知事はこちらの生態系には関心が全くないようだが、リニア工事を止めるのであれば、伊豆縦貫自動車道も同じ基準でやるべきではないのだろうか。
リニアにばかり高い水準を求め、意味のない調査をやれやれと繰り返すというのは、イチャモンとしか言いようがないではないか。
静岡県は、合意形成のゴールポストをどこまで動かし続ける気なのだろうか。このままでは、リニア計画そのものの頓挫が危ぶまれる。