ミッション・ビジョン・バリューの関係性

 イメージしてみてほしい。僕たちは霧のなかにいる。そこに突然、遠くにパッと、ワクワクする未来の景色が現れる。「あ、あっちの方向に行きたい!」と思うだろう。群れが飛び続けるためには、「いま見えている世界」だけではなく「将来見たい世界」がメンバーたちに見えていないといけない。

 それに魅力を感じたメンバーたちが「一緒に行きたい」「仲間にしてほしい」と集まってくる。そのときに、だれでも受け入れるというわけにはいかない。自分たちの仲間になれる個体かどうかを判断する基準が必要だ。また、仲間になったメンバーと衝突を避けたりするときにも、この感覚が頼りになる。

【説明できますか】ミッション、ビジョン、バリューのちがいとは? わかりやすく解説する

 そしていざ、仲間たちと一緒に進み始めるときには、群れが未来にわたってどんな存在であり続けるのかという意思が必要になる。未来に向かって放たれた矢印のような中心軸をイメージしてもらうといいだろう。これがないと、群れは無限に広がってしまい、やがて仲間全体で動くことができなくなってしまう。

 バラバラの個体が1つの群れを成して飛び続けるためには、未来の景色という方向感覚仲間と共有する価値観という距離感覚未来に向けた意思の矢印という中心感覚の3つが必要になる。

 所属するメンバーに、この3つを「体内羅針盤」のようにうまくインストールできた組織だけが、空中分解せずに前に進み続けることができるのだ。この3つの感覚がそれぞれビジョン、バリュー、ミッションに対応する。

 企業理念に関わる言葉がややこしいのは、組織を維持するうえでこうした複数の機能が必要になるからにほかならないのである。