日本市場はアマゾンにとって
重要な稼ぎどころ

 今から15年ほど前に「グーグルゾン」という言葉が、ITビジネス界隈で話題になりました。激しく競争をしているグーグルとアマゾンですが、もし15年前の段階で2社が合併していたら、世界をあやつれるほどの独占企業が出現するのではないかという未来予測です。

 現実にはそんなことは起きなかったのですが、別の現実としてグーグルとアマゾンはそれぞれ、この15年で個別に世界をあやつれるほどの力を持つようになりました。

 そのアマゾンですが、世界売り上げの9割弱はたった四つの国で稼いでいます。アメリカ、ドイツ、イギリス、そして日本です。わたしたち日本人はアマゾンが大好きですが、日本市場はアマゾンにとっても全体の5%を占める重要市場なのです。

 それで最初の「もしも?」は、アメリカでプライム会員に向けた携帯サービスが成功したとしたらどうなるかという話です。そうなれば当然アマゾンは次にドイツ、イギリス、そして日本でプライム会員向けに携帯サービスを導入したいと考えます。でも、誰が携帯回線をアマゾンに提供するのでしょうか?

 その疑問についてはこの記事の後半にお話しするとして、皆さんの中にもアマゾンエフェクトという言葉を聞いたことがある方は多いと思います。アメリカでは、有名な小売店ブランドが毎年何社も経営破綻するという状況が、もう10年以上続いています。

 2018年にシアーズやトイザらスが、2019年にフォーエバー21が、2020年にバーニーズ・ニューヨークが破綻しました。コロナ禍では金融緩和で大型倒産は目立たなかったものの、2023年4月には家庭用品販売最大手のベッド・バス&ビヨンドが破産に追い込まれました。