自身も過敏性腸症候群で1日に数回下痢をすることも多いという石黒医師は、こう話す。
「腸の不調は気質、食生活、自身を取り巻く環境も含め、先天的要因、後天的要因などが複雑に絡み合い勃発するのですが、そんな不快な日々であったとしても、快適な毎日を諦める必要は全くありません。まずはご自身の“傾向と対策”をしっかりと把握しましょう」
下痢と腹痛を呼ぶ5つのパターン
「腸の不調」と向き合おう
石黒医師によると、下痢や軟便、腹痛といった症状の原因は次の5種類。
A 過敏性腸症候群
B 消化機能の低下
C 腸内細菌の悪化
D 感染性胃腸炎
E 重篤な疾病
Aの過敏性腸症候群は近年、特に増えている病であるが、名前のとおり「腸がちょっとしたことにも過敏に反応して下痢になる」というもの。便が溜まっていない状態でも、腸がギューギュー動くので激痛になる回数が多いという特徴がある。ストレスが引き金となって発症しやすい。
Bは食べすぎ・飲みすぎ、あるいは激辛のような刺激物、脂肪分の多い食品の過剰摂取、早食いなどによって胃酸の分泌が乱れ、消化不良を起こしているときになりやすい。この場合は、とにかく胃腸を休ませるのが鉄則。刺激物や繊維質の多い食品を避け、脂肪をたっぷり含んだ食品を控えるようにする。さらに、消化に良いとされるうどん、豆腐、皮のついていない鶏肉、白身魚などを摂取しながら、脱水に気を付けることで快復に向かう。
Cは何を食べても、ゆるくて弱々しい便が出る場合が多い。腸内細菌が弱っているので、良い便を出せるように、しばらくの間(1カ月~数年)、自分に合った整腸剤や乳酸菌のサプリメントを飲むことが解決に繋がる。
Dは腸に入り込んだ菌などの異物を追い出そうとする「体の反応」。過敏性腸症候群と同じく腸が強く動くので激痛を伴いやすいが、胃腸の抗菌薬や整腸剤を飲めば、1~2週間で完治する。
Eは大腸がんや潰瘍性大腸炎などの重篤な疾病。当然ながら、より専門的な治療が必要になる。