下痢するから、(好物だけど)食べない!という思考になる必要はありません。特に過敏性腸症候群の場合はトイレで出せば、症状はいったん落ち着くのですから、トイレにすぐ行ける状態で食べたい物を食べる方が、より楽しい人生になると思います」

 これ以外にも、食材によっては、食後24時間以上経ってから胃腸の調子が悪くなる遅延型アレルギーの反応が出る場合もあるという。「これを食べると高確率で下痢」という場合は、遅延型アレルギーを疑って検査する方法(IgG食物過敏セミパネル・税込み3万9800円)も有りだそう。

消化器内科医が教える
突然の便意回避法

「過敏性腸症候群の患者さんの場合、ストレスがかかると緊張が呼び水となって途端に腸の動きが不規則になり、お腹がギュルギュルとなりがちです。下痢や突然の便意が恐怖になりやすいのですが、闇雲に怖がらずに、まずは、自分はどういうタイミングで下痢を起こし、何を食べたら下痢になりやすいのかを把握しましょう。その上で日常のタイムテーブルをコントロールするのが戦法としてはベストです」

 たとえば、その戦法として、お腹弱者のサラリーマンの深刻な悩みである「通勤途中での便意対策」を伝授してくれている。

(1)朝食は自宅で食べずに、
職場近くでトイレを確保した上で食すべし

「下痢がちな人は食事がキッカケとなって、腸が激しく動きます。ならば、この習性を逆手に取って、朝ご飯を食べずに仕事に行く。職場に着いたら朝食タイムにすればいいんです。トイレがすぐそこにある環境で、安心して朝ご飯を味わいましょう」

(2)トイレのない場所での突然の便意は、
カラオケ十八番を心の中で全力熱唱

「便意は気持ちがそちらに向けば向くほど高波となって押し寄せます。逃れる術は、今、とらわれている意識を別のものに向けるしかない。つまり、便以外の何かに神経を集中させることで、便の恐怖を別の方向に逸らすという方法です。当然、限界はありますが、緊急非常事態では好きな曲を脳内で全力熱唱してみるのも一手です」