三部ホンダとしては、EV・FCEV戦略においてサプライチェーンの構造改革や見直しを図るべく、退路を断つように「ドライ」な経営を進めているところだ。

 これは、「四輪事業の収益力向上」というホンダ内部の課題の影響も大きい。ホンダは23年3月期の決算の訂正で、米国リコール費用計上により四輪事業が166億円の営業赤字に転落したことも発表している。四輪事業が年度ベースで赤字となるのは、実に11年ぶりだ。

 一方で、ホンダだけでなく、トヨタや日産などOEM各社も国内サプライチェーンの構造転換を迫られている。

 トヨタは、EVの生産改革(一体成型で大型鋳造部品を作る新技術「ギガキャスト」など)で素材・部品の転換促進を進めている。

 また、日産はすでに系列部品企業の再編の動きが表面化している。かつての日産系主力サプライヤーだったカルソニックカンセイは現マレリとして事業再生途上にあるが、最近では同じく日産系主力部品企業の河西工業が深刻な経営不振にあり、その動向が注目されている。

 つまり、世界的な電動化の大きなうねりだけでなく、コロナ禍や半導体不足などを背景としたOEM各社の生産・供給体制の見直しの動きが活発化しているということだ。

 これは、従来のOEMを支えてきたサプライチェーンの構造転換を迫るものであり、部品企業にとっては生き残りに向けた戦国時代に突入しているということだろう。

(佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆 佃 義夫)