カッコ悪い昔話で
聞き手との心の距離を縮める
「自分のカッコ悪い部分については、恥ずかしいので隠しておいていいですか?」
こんな質問もよくいただきます。そのお気持ちはよくわかります。
ただ、弱みや欠点、失敗など、一見ネガティブに感じられることのほうが、他人の心に刺さりやすいのです。
アメリカ合衆国の大統領、エイブラハム・リンカーンは大統領選で、「私は多くのアメリカ人と同様、貧しい家に生まれた」と、自分の生い立ちを包み隠さず話しました。
その結果、多くの大衆から好感を持たれたと専門家が指摘しています。
さらに言うと、マイナスな部分を打ち明けるとき、数値が入っているなど、表現が具体的であればあるほどインパクトを増して聞き手に伝わります。
たとえば私の自己紹介では、「手取り20万円の普通のOL」「最初は月1万円も稼げない」「睡眠時間も3時間」のようなワードを使っています。
すると、聞き手は無意識のうちに「今の自分と(昔の自分と)似ている」と比べることになり、関心が呼び起こされたり、共感したくなったりします。
自分の弱みを話すことで、聞き手の警戒心を解き、心理的な距離をぐんと近づけることができます。
ですから、SNSの投稿やライブ配信で日頃から自己開示ができていると、それを見聞きした人は無意識のうちに親近感を持ってくれるようになるというわけです。
実際、私は好意的なコメントと同じくらい、お悩み相談も数多くいただきます。
「私も、昔のさやかさんと同じく普通のOLですが、○○に悩んでいます」
「さやかさんのように仕事と育児を両立させたいのですが、○○に困っています」
このように、自身の私的な事柄を開示して相談してくださるのは、「あのような体験をしたさやかさんだから、わかってくれるはず」という信用があるからでしょう。
それは、とても光栄なことです。
このように、人間関係の構築のためにも「カッコ悪いところ」も含め、自分の行動や考えを明らかにしていく姿勢は大事です。
「恥ずかしい」「炎上が怖い」などの理由で、自己開示を避けていたら、「何を考えているのかわからない人」と捉えられ、興味を失われかねません。
過去の失敗や恥ずかしいこと、そして現在の悩みなども、話すことで相手に好感を与えることができます。
それは「自分が信頼されている」「自分が大事にされている」という証拠だからです。
つらかった経験も、笑ってネタとして伝えられるようになれば、最高ですね。