治安のいいSNSのまま成長できるか?

 ツイッターと比べると、スレッズは何が違うのか。今後サービス内容が変更される可能性はあるが、見ていこう。以下は7月13日現在のものである。

<いいねとリツイート数が見えづらい>

 ツイッターでは、「いいね」やRT(リツイート)の数は一目でわかる仕様となっている。ユーザーは嫌でもこれを意識せざるを得ないし、いいねやRT数が伸びる投稿をくり返すうちに、過激な発信が増えてしまうユーザーも少なくない。

 一方、スレッズでは、ツイッターのRTにあたる「再投稿」の数がわかりづらい。インスタグラムでは現在、「いいね」の数を気にすることなく楽しめるように、その数を表示しない仕様となっており、スレッズもこれを踏襲していると思われる。

 数が表示されると、人間の心理としてその数が多い方がうれしい気持ちが芽生えてしまう。逆に少ないと承認欲求が満たされず、反応を求めることになりがちだ。そのストレスが、ツイッターよりも今のところ少ないとはいえるだろう。

 また、ツイッターだと人のツイートを引用して批判や反論などを行うことに使われがちな「引用RT」の機能がある。スレッズにもこの機能があるが、ツイッターよりも、他のユーザーのツイートがどのように引用RTされているかの確認が容易ではない。

 引用RTで嫌な思いをしたことのある人にとっては、今のところスレッズのほうが気が楽だろう。

<ハッシュタグや検索機能がない>

 これも今後のサービス変更で追加されるかもしれないが、スレッズには今のところハッシュタグ機能がない。

 ハッシュタグは、その問題について意見を言いたい人、意見を収集したい人にとって使い勝手が良く、これによって自分と似た興味や関心のある分野の人を見つけることができる。

 その一方で、自分と異なる考え方の人を見つけ出し、その人に対して批判や反論をぶつけたり、さらにはしつこく執着するなどの嫌がらせを行うことも容易だ。

 また、スレッズに投稿されている内容の語彙(ごい)検索機能がないことから、この点でも、トレンドワードがどのように言及されているかといったことを確認しづらい。これらの機能があるツイッターよりも、議論が過熱しづらいといえるかもしれない。

 ツイッターは、自分と似た主義主張の人をフォローし合い、対立する側を攻撃する場となりつつあったが、スレッズは今のところ、すべての人が新しい学校の新入生といった感があり、コミュニティーやヒエラルキーが曖昧な状況となっている。