国際テロ情報収集ユニットを
外務省内に発足した理由
日本のテロ対策とは具体的にはどのようなものか。
まず法整備について、影響の大きい事件が起きるたびに法律や制度を改正している。
例えば、2008年の洞爺湖サミットに向け、2007年11月から、来日する外国人に対し、テロ未然防止の対策として指紋などの生体情報を採取する制度を確立した。
そして、2015年には外務省内に国際テロ情報収集ユニットが発足した。
パリ同時多発テロ事件(2015年)をきっかけに、伊勢志摩サミット(2016年)や2020年東京オリンピック・パラリンピックなどを見据え、日本のテロ対策を強化するのが目的だ。
現地の治安情報や邦人が危険に巻き込まれないよう防止するための組織であり、また有事の際には邦人救出のためにテロ組織などとの交渉も担う。2018年10月にシリアで拘束されていた安田純平氏の解放時にも同ユニットが深く関与した。
NHKの取材によれば、同ユニットは、人員の大半が外務省、警察庁から構成され、防衛省、公安調査庁、内調、入国管理局、海上保安庁の人員もわずかに加わっている。
国内職員は、地域、総務、ITなどに分かれて活動し、地域班は各国に出向き情報機関などと情報交換を行う。海外職員は、現地の在外公館で活動し、相手国の情報を収集しているが、同ユニットの規模はまだまだ小さく、対外情報機関としては発展途上だ。
そして、“野崎守”の所属する外事第4課は、国際テロに関する情報を主に日本国内で徹底的に収集している。
筆者も一時、国際テロ対策に従事し、極めて綿密な情報を収集するための地道な作業に明け暮れたことがある。その中では、「VIVANT」のように拳銃を使用する場面には遭遇しなかったが、「相手に気が付かれたら終わり」という場面に多々遭遇し、神経をすり減らした記憶がある。
一方で、前述の通り、日本としては対外情報活動を積極的に行い、現地の情報コミュニティに深く食い込み、よりクリティカルな情報を収集できる体制の構築が求められている。