具体的には、旧英国植民地ではないルワンダが2009年に加盟した。加えて、同じく旧英国植民地ではないガボンとトーゴも2022年に新たに加盟した。パレスチナ自治政府や南スーダンも加盟に前向きだ(第330回)。
新たに加わりたい国・地域が今も存在する理由は、独裁政権を倒して民主化を果たした小国(主にアフリカ諸国)や、新しく誕生した国家でも加盟しやすいからだ。
そして国際連合よりも、国際社会で発言する機会を得やすい。英系グローバル企業とのネットワークによる、経済成長を期待する国もある(第20回・p5)。
さらに、EU離脱後の英国の新しい国家戦略「グローバル・ブリテン」に沿った施策として今年5月に行われたチャールズ3世の戴冠式にも、多数の外国の国家元首や王族が参列した。英国からの援助や投資、英国との経済関係強化、安全保障関係強化を狙ってきたのだ。
そこで、あらためて提言したい。日本は英国および英連邦との関係を強化して日米英同盟を形成すべきだ。そして、中国との関係を絶ち切っても経済的に十分やっていける体制を構築すべきだ。さらにその一環で、英連邦への新しい形での加わり方を検討するべきだ。
そのままの加盟は難しくても
新しい道を模索すべき
ここで「新しい形」としたのには理由がある。日本の皇室は世界最長の歴史を持つことなどから、英王室と同格以上の存在だという説があるためだ(※)。
※八幡和郎、篠塚隆(2023)『英国王室と日本人:華麗なるロイヤルファミリーの物語』(小学館)を参照。
天皇陛下と英国王の序列関係から、英国王を象徴とする英連邦に日本がそのまま加わるのは難しいだろう。しかし「英国と同格のオブザーバー」としての参加など、別の形での加盟は検討の余地があるはずだ。
現在、英国のTPP11加盟が実現することになり、事実上の「日英自由貿易協定」が成立する見通しだ。米国主導の新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」も交渉が始まっている。
これらの動きがある中で、日本が何らかの形で英連邦に加われば、グローバルサウスの多くの国々と事実上の「国家連合体」を形成できる。これが実現すれば、中国をはるかにしのぐ巨大な経済圏が出来上がる。
もちろん、現状すぐに中国との関係を断絶し、事を荒立てる必要はない。しかし、中国との関係をいつでも切れる政治的・経済的・安全保障体制を構築しておくことは、中国に対抗する政治的パワーを格段に高めることになる。そのための“切り札”が英国および英連邦との連携強化なのである。