女性社員に対しての
「俺がやるから」は逆効果
例えば、東急電鉄電気部は2010年に初の女性部員を受け入れた。その際、管理職の男性は女性社員に「俺がやるから」とは言わず、男性社員と同じように扱ったという。
「大変な力仕事だから(女性には)無理だろう」「負荷が大きすぎるからかわいそうだ」と思い、その女性社員が担当する業務を「いいよ、俺がやるから」と引き剥がしてしまえば、その部下が成長する機会を奪うことになりかねないからだ。
正しいのは、部下本人にできるかどうか、できない場合にはどうするかを考えさせることなのだろう。もし、それを先回って「俺がやるから」と言ってしまう管理職がいるとすれば、それは「優しさ」ではない。きつい言葉にはなるが「ええかっこしい」にすぎないのだと思う。
大切なのは、相手の立場になったときにいかに感じるか、どう考えるかを探ること。つまり「共感」に他ならない。昨今よく言われることではあるが、実際に適切な場とタイミングで共感に基づいた行動を取るのは簡単ではない。
だが、その習慣やスキルを頭と体に染み込ませることができれば、相手の国籍や性別、性自認が何であれ、お互いと組織のためになるコミュニケーションが取れるに違いない。
日頃、コミュニケーションに悩みがちな方は、ぜひページをめくっていただきたい。
(情報工場チーフ・エディター 吉川清史)