開成・桜蔭・筑波大駒場・渋谷幕張…。東京・吉祥寺を中心に都内に展開している進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないのに有名難関校に続々合格させると話題の塾だ。男女別カリキュラムを取り入れたロジカルで科学的な学習法は、特にエリート父親層から圧倒的な支持を集めている。本連載では、VAMOSの代表・富永雄輔氏に、保護者からよく聞かれる質問とその回答を聞いた。

男の子の学力の伸ばし方Photo: Adobe Stock

「思考力・創造力」がある子の特徴

Q. 「考える力」がある子によく見られる習慣はありますか?

 「制限時間を設けていないこと」だと思います。

 言い方を変えると、忙しく生活させすぎないということです。習い事を詰め込みすぎないと言ってもいいかもしれません。

 せっかく子どもが何かを考えているときに、「はい、時間だから終わり」「時間になったから、次に移りましょう」と言って、どんどん切り替えてしまうケースがよくあります。

 たとえば、子どもが3時くらいにパズルに夢中になっているとします。でも、4時から習い事の予定があったら、途中でパズルを止めないといけないですよね。予定を詰め込もうと思えば、その後、誰かと食事の約束なども入れることもできるでしょう。

 こんな感じで、スケジュールが詰まっていると、自分で考える時間や、自分で一人になれる時間がなくなってきます。

 時間的な余裕が、思考力だったり創造力を育ててくれる面を軽視してはいけないと思います。

 ひとりっ子は「創造的なことが得意」と言われますが、親が予定を詰めすぎず、ひとりの時間に空想や思考を繰り広げることができた子が、クリエイティブな力を獲得できるのだと思います。

時間の余裕が「自己肯定感」を高める

 ちなみに、この話は、子どもの「自己肯定感」にもつながってきます。

 やることを詰め込みすぎると、どうしても「終わらない」という経験をすることが増えます。

 せっかく頑張っても、終わらない。終わらないままに次へ次へとなっていくと、消化不良が蓄積していきます。

 習い事をたくさんやらせても、そのすべてを器用にこなせる子は少ないと思います。疲れてしまうでしょうし、結果が出ないケースも出てくるでしょう。

 結果的に、自信を失う経験をすることも増え、自己肯定感をうまく伸ばせない子が出てきてしまうのです。

 話をまとめると、「時間の余裕」には、子どもの思考力・創造力・自己肯定感を伸ばす力があります。子どもの習い事を検討している方は、この点も考慮しながらお子さんのスケジュールを組み立ててあげてほしいと思います。