音声認識・文字起こしツールにかける前にも!
音声ファイルの音質を改善する「Enhance Speech」

 最後に紹介するのは、音声ファイルの音質を改善するサービス“Enhance Speech”(エンハンススピーチ)(https://podcast.adobe.com/enhance#)だ。少し意外だが、PhotoshopやIllustratorなどグラフィック関連のツールやサービスで知られるアドビが提供している。

 Adobe Podcastという、ポッドキャスト制作のための総合スイート的なサービス(現状はβ版)の一部として公開されており、Adobeのアカウントさえあれば、無料で1ファイルあたり500MB以下30分まで、1日あたり1時間までの音声を処理することができる。

 スマートフォンで録音したインタビューや講演などは、周囲や会場の状況によって、良い音質で録音できないことも多い。しかし“Enhance Speech”を利用すると、まるでスタジオ録音したかのような音質に向上させることが可能になる。処理にはそれなりの時間がかかるものの、ファイルを選んで放っておくだけなので、さほど問題にはならないはずだ。

Adobe Podcastサービスの”Enhance Speech”機能を使うと、録音ファイルにノイズが含まれていたり、反響のある場所で録音されたりしたものも、聞き取りやすい音声へと変換することができる。リモート会議やイベント会場でのスマートフォンを使った録音などでも、直接マイクを向けて収録したかのような音質になるので、音声認識の前処理などにも利用できるAdobe Podcastサービスの“Enhance Speech”機能を使うと、録音ファイルにノイズが含まれていたり、反響のある場所で録音されたりしたものも、聞き取りやすい音声へと変換することができる。リモート会議やイベント会場でのスマートフォンを使った録音などでも、直接マイクを向けて収録したかのような音質になるので、音声認識の前処理などにも利用できる 拡大画像表示

”Enhance Speech”機能の使用前・使用後の比較のため、筆者が量子コンピューティングの専門家にリモート取材した際の音声の一部を掲載する。短い音声だが、すぐに違いが分かるはずだ。

“Enhance Speech”機能の使用前・使用後の比較のために、筆者が量子コンピューティングの専門家にリモート取材した際の音声の一部を掲載する。“Enhance Speech”処理後の音声では、くぐもって反響音も含まれていた相手の声が、クリアなものへと変換されたことが分かる

 今回紹介した3つのような、基本無料でありながら、ビジネスにも応用できるAI関連ツールが数多く生まれてきている。これらを足がかりに、未知のものも積極的に試用して、業務に合うものや、自分なりの使い方を見極めていくとよいだろう。