セブンの「金色ラベル」PBに異変あり!?
グリーンPBは企業イメージ向上程度
ただ、最近では麺類を中心に、金色ラベルに異変が起きているようで、そこまでおいしくない商品も「金の~」を名乗るようになりました。百貨店のそごう西武の売却問題で経営陣が忙しくしているうちに、共同開発先への政治的な忖度(そんたく)が発生したため起きた現象だと推測していますが、あまり良い傾向とはいえません。
というのも、PB商品全体として稼ぎ頭になるのはあくまで一つ目のカテゴリーであるべきなのです。ワンランク上のプレミアムPB商品の数が増えてしまうと、その下の一般カテゴリーのPB商品の品質が一段低く見えてしまいます。ライフでは実際にそれが起きていて、PB商品全体の魅力を落としています。あくまで二つ目のカテゴリーに飛びぬけて素晴らしいプレミアム商品もあるからこそ、主力の一つ目のPB商品が売れるというのが、PB戦略の根幹だと考えるべきです。
さて、三つ目のいわゆるグリーンカテゴリーのPB商品はどうでしょうか? 日本はグリーン消費の後進国だといわれています。その理由は若干複雑で、例えばアンケートで「オーガニック消費を意識しますか?」と質問すると、4割ぐらいが「意識する」ないしは「少し意識する」と答えます。
そうした意識高い系の国民が一定数いる中で、一例としてオーガニック野菜の消費量はわが国全体の1.5%というデータもあります。欧米では10%ぐらいのオーガニック市場があるのと比較すると、日本市場は極端に小さいようです。エコをライフスタイルに一致させたニューウェーブのような活動が力を持った欧米と、そこまでのブームになっていない日本の違いがあるのかもしれません。
このように捉えると、三つ目のカテゴリーはあくまでPB商品全体やイオン、セブンといった企業名に対するイメージアップという形で必要とされる一方で、市場規模としてはそれほど大きな勢力にはなれないでしょう。
今回は、PB商品の四つの方向性を考えてみました。ここから予測できるPB商品の未来は、やはり中核カテゴリーが増殖する形でこれから発展していくであろうということです。それは、トップバリュやセブンプレミアムというブランド自体が、メーカー品と同じレベルの評判を獲得し、売り場で一番売れる商品に育つことを意味します。
そのためには相対的に安いことも重要ですが、何より大事なのは、一昔前に比べて格段に違うレベルへ、PBに対する評価を上げていくことでしょう。すでに消費者が「セブンのPBはおいしい」とお墨付きを与えることで、PBの伸び率がメーカー品の伸び率を大きく上回る事態が、小売りの現場で起きています。トップバリュもその流れを追うことで、以前のような「PBを買うのは恥ずかしい」レベルから「トップバリュを買うのは普通のこと」へと消費者の意識を変えつつあります。
つまるところ今後のPB戦略においては、あまり安さを追求せず、あまり高級品を増やさずに、自社のPBカテゴリー全体を有力ブランドへ育てる戦略が重要ではないでしょうか。