岸田首相がもくろむ
総裁選での再選

 こうした中、今回の人事を受けて、東京・永田町では早くも「衆議院の解散・総選挙は近い」という声が広がり始めた。

「岸田首相は、盛山文部科学相を通して10月に旧統一教会への解散命令を東京地裁に請求し、補正予算を成立させた後、解散に踏み切るかも」(前述の自民党中堅議員)といった見方である。この場合、10月下旬解散、11月14日(大安)公示、同26日(これも大安)投開票となる。

 最近では、2017年9月、「森友・加計問題」で批判の矢面に立っていた安倍首相が、「国難突破解散」と位置付け、勝負に出て圧勝した例がある。マスメディアがはじき出す支持率と選挙の勝敗の相関関係は思ったほど高くない。

 そのため、岸田首相が解散権を行使する可能性は捨てきれないが、人事で出そろった顔ぶれを見ると、筆者には、岸田首相が来年秋の総裁選勝利を最優先に、自分自身の防衛力を強化するために配置した布陣に見えて仕方がない。

(政治・教育ジャーナリスト/大妻女子大学非常勤講師 清水克彦)