軟弱だ、なんだと高校球児の「日焼け対策」をやゆする声が漏れ聞こえた夏の甲子園。医療側からすると、老若男女の区別なく日焼け対策は必須だ。
たとえばカンカン照りの郊外でプレーをする、週末ゴルファーの皮膚がんリスクを考えてみよう。
オーストラリアの研究グループは、国内のゴルフプレーヤーおよそ45万人が登録する業界団体の協力で、月に1回以上ゴルフをしている会員に、皮膚がん診断の有無をオンライン調査した(調査期間2018年11月~19 年5月)。同時に同国の大規模健康調査で得た一般人のデータと比較している。
最終的に解析対象となった336人(プレーヤー群)の平均年齢は62.1歳、男性が68.2%で、大卒の割合は49.4%だった。一般集団と比較すると、プレーヤー群は中~高度な身体活動時間が長く、平均体格指数も低かった。健康的で教育水準が高く、疾病リスクは低い集団だといえる。
ところが、年齢別に皮膚がんの生涯有病率(一生のうちに皮膚がんを発症する確率)を解析した結果、一般集団は7.1%だったのに対し、プレーヤー群では27.1%と有意に高かったのだ。つまり週末ゴルファーのほぼ4人に1人が、皮膚がんと診断されていたことになる。
年齢や性別、教育歴、喫煙歴などほかのリスク因子の影響を調整して解析した結果、プレーヤー群の生涯皮膚がんリスクは、一般集団の2.4倍以上に及んだ。
研究者は慎重に「皮膚がんと診断された時期が明らかではないので、ゴルフとの因果関係を証明するものではない」としているが、一方で、「一般集団よりもリスクが高いという事実は、日焼け対策の重要性を物語る」と付言した。
オーストラリアほどではないが、日本の紫外線量も観測を開始した1990年以降、増加傾向にある。
気象庁も天気予報にUV指数を加え、対策を呼び掛けている。UV指数「中程度(3~5)」以上が予想される日は、長袖、帽子着用のうえ日焼け止めでしっかり皮膚を保護すること。
日焼け対策は、現代ゴルファーのたしなみである。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)