競争から迷走へ
箕輪:今は「意識高い」とか「脱成長」といったあらゆる論が、ちょっとズレているなと思われているんですよね。
「前提から全部疑って突っ込もうよ」という状況だから、今までだったらわかりにくくて売れなかった、自己内省的なものが来ている気がします。
尾原:ここ2カ月くらい、ビジョナリーな方々のプレゼンを海外で見ていると、共通している言語が「ミドルエイジクライシス(Middle age crisis)」なんですよ。
箕輪:それは何ですか?
尾原:中年になると、自分の今までやってきたことが円熟して、下降期に入ったり自分の成功パターンがズレてきたりします。その中で、「俺はもう一回できるんだ」ともがいて、変なことやってしまうときがあるんですね。
箕輪:パワーと知能がある人が、暇と退屈に耐えられなくなって、行くところまで行ってしまう感じですよね。
尾原:今はいろんなものがミドルエイジクライシスに突入している中で、「自分の強みをどこに置いたらいいんだ」と、みんな迷い始めているんですよ。
箕輪:『かすり傷も痛かった』に「競争から迷走へ」と書いたんですけど、時代も世の中も競争から迷走に変わっています。
今までだったら、「結論は何だよ」と言われていたけど『かすり傷も痛かった』の迷走エッセーが若干共感を呼んでいる空気感はありますよね。
尾原:ミドルエイジクライシスって、迷走しないと自分のズレがそのままおかしな方向に行ってしまうから、むしろ「俺は迷走してるんだ」って言えるほうが健全なんですよ。
箕輪:それはあると思います。
尾原:ミドルエイジクライシスを防ぐためには、実は迷走をやったほうがいい。「むしろ迷走をエンタメとしてやろうよ。自分を茶化そうよ」というほうが、時代に向いています。