うまい人のプロンプトをまねる
「写経」トレーニングが上達の近道
ChatGPTを使って楽をするには、生成AIが得意とする分野で、任せられる仕事を見つけ出す必要がある。そのためには、さまざまな業務のフローをそれぞれ分解して特性を理解し、どの部分がChatGPTに振れるかを判断できないといけない。
これは仕事を部下に振る管理職なら、普通に求められる能力だろう。マネジメント業務に就いている人は、ChatGPTを使えないと、ものすごくもったいないともいえる。
以上の指摘をした上で、多くの社員がChatGPTを使いこなせない理由を確認しよう。それは、そもそもChatGPTを使っていない、手を動かしていない、訓練していないことにあると筆者はみている。
ChatGPTは、ツールというより英語のようなスキルであると捉えた方がよい。例えば、英語が話せるようになるのに必要な訓練時間は、2000時間とも3000時間ともいわれている。
ChatGPTは自然言語で操れるので、英語ほど習得に時間はかからないが、とにかく使ってみることが大事という点で一緒だ。筆者がChatGPTを使い始めた初期のプロンプトを見返してみると、「こういうプロンプトの書き方はNG」という内容をずばりそのまま書いていた。たくさん使い続けることで、スキルはどんどん上達していくものなのだ。
それでも業務で使えるレベルになるには、ある程度の時間的投資が必要で、自ら鍛えなければならない代物という認識をまずは持とう。日常的に使ってみたり、業務の中で使えるシーンを見つけて利用してみたりすることを繰り返せば、使いこなせる1割に近づいていけるはずだ。
なお、トレーニング方法としてお勧めするのは「写経」である。プログラミングの上達手段としてもよく取り上げられるが、周りでうまく使えている人のプロンプトをそのまま写してみるのが有効だ。その際、手を動かしてプロンプトを入力し、どんなアウトプットが出てくるかを自分で試してみるのが大切である。
周りでうまく使えている人がいない場合は、ウェブやSNSで優れたプロンプトを探索してみるとよい。「どのプロンプトが良いのか判断できない」という人は、信頼できるプロンプト集を写経してみるのも手だろう。
『コピーですぐに使える!ChatGPT100選 職種別・業種別・部署別』で紹介している103個のプロンプトは、よくまとまっている。自分で写していけば、スキルは相当上がると思う。
繰り返すが、ChatGPTの習得は英語ほど時間はかからない。例えば、当社のインターンに応募してきた学生は、写経を中心とする2週間の訓練で、ゼロから中級レベルのスキルを身に付けることができた。上位1割に入れるアドバンテージは大きいので、ぜひ取り組んでみてほしい。
Key Visual by Noriyo Shinoda,Kanako Onda