社内でChatGPTを普及させるには
業務で使う必然性をつくるのが大事
このページでは企業が社内でChatGPTを普及させるこつを、次ページでは社員がChatGPTを使いこなす1割になるためのこつを、それぞれ紹介していきたい。
ChatGPTを導入してみたけれど、社員の利用者が少ない企業は、ChatGPTをただ使えるようにしただけで、社員が「業務で使う必然性」をしっかりと設計していないケースが多い。ここは、重要なポイントである。
ChatGPTを使って、単純作業や非効率な業務になるべく人が介在しないようにしたい――。導入企業には、こうした狙いがあったはずだ。
解決策として提示したいのは、業務フローの中でChatGPTが代替できる部分を見つけ出し、ボタン一つ押せば裏側で生成AIが動くようにする仕組みだ。社員がChatGPTを利用している意識があまりないのに、結果として使っているような形で導入するのが非常に有効である。
具体例として、当社における人事評価業務での活用を紹介したい。
人事評価の制度としては、三つの評価項目(業務に取り組む姿勢、アウトプットの品質、プラスアルファの貢献)について社員に具体的な行動目標を作ってもらい、2カ月に一度、実績に照らして評点を付けていくという一般的なものだ。
ただ、当社では、社員の設定した目標が、五つのポイント(1.誰が読んでも分かる、明確で具体的な表現や言葉で書き表す。2.目標の達成度合いが本人にも上司にも判断できるよう、その内容を定量化して表す。以下略)と三つの評価項目に照らして、適切であるかどうかのチェックをChatGPTに任せている。
社員の書いた目標が十分でない場合には、適切な内容になるアドバイスをするように、ChatGPTのプロンプト(指令文)を書いた。そして、利用者がボタンを押すだけで、修正点のアウトプットが出るようにしている。
この添削作業は上司が担当していたが、人によってその指導内容にばらつきが出るのは望ましくない。社長がやっても誰がやっても同等のクオリティー、客観性をもって指導する必要があると考えている。こうした業務はChatGPTと親和性が高いのだ。
こういった形で業務フローにChatGPTを組み込んだり、ボタン一つで機能するインターフェースに落とし込んだりすることは、企業がChatGPTの普及を社内に促す上で重要な施策となる。