暖房家電の電気代は
トータルで考える

書影『どうする!? 電気代 節約完全マニュアル』(ARTNEXT)『どうする!? 電気代 節約完全マニュアル』(ARTNEXT)
風呂内亜矢(監修)

 数多い発熱系の家電のうち「電気給湯器」およびおもに冬季に使用される「電気カーペット」の影響は非常に大きいです。

 電気給湯器は、家庭内での消費電力消費ランキングで夏季は4位、 冬季は3位にランクイン。一方の電気カーペットは、実は消費電力は暖房器具の中でもエアコンに次いで高いです。無駄のない適切な使用法を心がけるだけで、年間約3000~6000円もの電気代節約につながります。

 電気カーペットの節電術として大切なのは「暖めたい範囲を無駄なく覆える大きさのものを使う」こと。範囲が広いほど、必要な電力量も増えます。スペースを分割して暖める機能が付いている場合は、人のいない部分は暖めない。 それだけで大幅な節電になります。 さらに設定温度による消費電力量の差も大きいので、暖め過ぎないことも大切です。電気カーペットの下に断熱マットを敷けば暖房効率が上がるので、設定温度を低めにしても十分に暖まります。

 一方の電気給湯器に関しては、まず電気ヒーターでお湯を沸かす「電気給湯器」と、大気の熱を利用してお湯を沸かす「エコキュート」の違いを把握しましょう。 エコキュートは初期費用が割高で、また設置のためのスペースが必要になるリスクはありますが、 電気代は旧来の電気給湯器の約3分の1。条件的に見合うならば導入をおすすめできます。一方、旧来の電気給湯器の節約術としては「電力会社に申請すれば電気代が割引される機種もある」や、暖かい地域では追いだき機能のない「エコオート(セミオート)タイプ」の給湯器を使えば電気代が節約できること、などが挙げられます。

 夏季よりも冬季の消費電力量が上がる傾向にある最大の理由は、夏季よりも大きい外気温と室温の差を埋めようとエアコンが出力を上げるためです。また、それ以外にも冷房家電より暖房家電のほうが種類も多く、複数同時に使用する状況が多いことも理由として挙げられます。

 電気こたつの節電の際に意識すべきことは、どうすればこたつが発した熱を逃さないようにできるか、です。こたつ布団1枚のみならず、上掛けや敷布団も使用することで、より効率的に熱を閉じ込めておくことができます。暖房器具は設定温度に達していないときに消費電力量が上がるので、熱を逃がさないだけで効果的な節電となるのです。

 また、熱を逃がさないようにすれば、こたつの設定温度を低くしても十分に暖まることができます。 さらにほかの暖房器具以上にこたつにありがちなのが「消し忘れ」。これを防ぐためには人感センサー付きこたつもおすすめです。

 床暖房の節電術として効果的なのは「就寝や外出の30分前にスイッチを切る」というもの。30分程度ならば、余熱で十分、暖を取ることができます。また床暖房の上にカーペットや無駄な家具を置いていると熱の伝導効率が悪くなり、余計な電力量がかかることになるので注意が必要です。

 暖房器具の節電はトータルで考え、比較的電気代の安いものをメインとして、エアコンの設定温度はできる限り低くすることが、大幅な電気代の節約につながります。