ウォーキングは体にいい。それはたしかに事実です。でも実は「ただ歩くだけ」では効果が出にくいことをご存じでしょうか。同じ歩くなら「科学的な歩き方」で「最大効果」を手に入れる。ここを目指したいものです。そこで本連載では論文マニアとしても有名な大谷義夫先生(医師)が、82の論文、世界の最新エビデンスをもとに正しく効果的な歩き方を書いた本『1日1万歩を続けなさい』から、今日から役立つ「歩き方のコツ」をお伝えします。
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風邪をなめてはいけない
アメリカでは昔から「風邪のひきはじめには有酸素運動がいい」と言われています。
免疫力を上げて風邪をひかないようにすれば肺炎の予防にもつながります。
日本人の死因「第4位」とは?
実は日本人の死因の「第5位」は肺炎、「第6位」は誤嚥性肺炎。
この2つを合わせると肺炎は日本人の死因「第4位」になっています。
肺炎はこわい
肺炎は細菌やウイルスが肺まで入り込んで炎症を起こす病気です。
細菌やウイルスは人間にとって「常にすぐそばにいる敵」ですが、私たちは通常、鼻・口・喉で撃退し、そこでだめなら気管・気管支で排除します。
ところが免疫力が落ちていたり風邪やインフルエンザで傷ついていると、鼻・口・喉の撃退チームは細菌やウイルスを追い出せず、「肺という城」は陥落して肺炎に至ってしまいます。
高齢者の場合、これが死につながりかねないので予防は常に重要です。
死亡リスクを下げるには「歩く」
北海道大学が65歳~79歳の日本人2万2300人について12年にわたって調査(※1)を行い、肺炎で亡くなった1200名とウォーキングの関係を調べたところ、「1日に1時間以上歩いている人」は肺炎による死亡リスクが低かったことがわかりました。
ただ歩けばいいわけではない
逆に、1日30分未満しか歩いていない人は、心筋梗塞や脳卒中の既往症がなくても、肺炎による死亡リスクが33%も上がることもわかっています。
ウィズ・コロナの時代は特に、1日1時間以上のウォーキングを習慣にするようにしてください。
※本稿は大谷義夫著『1日1万歩を続けなさい』より、一部を抜粋・編集したものです。本書は他にもウォーキングにまつわるさまざまなエビデンスと、具体的かつ効果的な歩き方が紹介されています。
※1 Ukawa S et al. Associations of Daily Walking Time With Pneumonia Mortality Among Elderly Individuals With or Without a Medical History of Myocardial Infarction or Stroke: Findings From the Japan Collaborative Cohort Study. J Epidemiol. 2019 Jun 5;29(6):233-237.doi: 10.2188/jea.JE20170341. Epub 2018 Sep 22.