メッセージ開始後は、すぐ伊森豊なる人物を追加するよう指示される。その後、見ず知らずの人が集うオープンチャットにも追加され、参加者が次々「伊森先生のご指導の下で目標利益を達成したい」などと持ち上げる光景に強い違和感を覚えた。

 実は、この伊森なる人物を筆頭とした組織を巡っては、ネット掲示板などでも被害が報告されている。記者もやりとりを進めると、やがて独自開発のFX取引システムなるアプリに誘導され、指定の銀行口座に投資資金を入れるよう案内を受けた。

大手金融機関の名を借りた
経歴詐称が疑われる例も

 最近はこのような、SNS経由での投資詐欺が続出中。金融庁は相談の増加を受けて今年1月、「SNSやマッチングアプリ等で知り合った者からの投資勧誘等にご注意ください!」とのお触れを出している。

 フレンツェル玲氏は、同様の事案をフェイスブック上で見た際、「弁護士名で(運営元のメタ日本法人に)削除要請をしたところ、いったん削除されましたが、その後も雨後のたけのこのように現れます。当方の名誉や信用も傷つきますし、だまされる被害者も気の毒です」と憤る。その上で、「関連会社や財団のサイトで注意喚起していますが、それも限界があるので、メタできちんと本人確認等の対応を取ってほしいと思います」という。

 取材を進めると、他にも、コンテンツプラットフォーム「note」上で自らを“相場の預言者”などと触れ込む「大竹運用塾」という存在も確認された。主宰者の大竹一義なる人物は、2005~17年までモルガン・スタンレーに在籍していたなどの経歴を記しているが、記者が同社に問い合わせると「在籍した記録は確認できない」という。