そんな私を待っていたのは、厳しい社会という現実でした。当時の私は「仕事を通じて成長できる」ことを重視し、日本生命保険相互会社に入社。社会人のなかでも比較的ハードな金融業という環境を選びました。ちなみに日本生命ではシステム開発や資産運用など、保険と直接関係ないという意味で少し特殊な、しかしとても興味深い仕事を担当させて頂きました。このことは今の自分の基礎を作る貴重な体験となっており、感謝しています。

 ところが入社当初は、会社で初めて経験する、どんどんレベルが上がっていく仕事や、極端に時間のないなかで次々と受験することになる数々の資格試験で、私の実力では全く通用しませんでした。今思えば、ノート術なしの「力技」で全てをやろうとしたのですから、それも当然でしょう。そんななか、ノートの使い方を、いやそもそもノートの使い方が重要だと教えてくれる人はいません。自分のやり方がなぜ通用しないのかわからず、単に能力不足だと自分を責めるだけの日々。上司に聞くわけにもいきませんし、自分なりに工夫するという今までのやり方では増え続ける仕事の量と質に追いつけない。まさに壁に当たり、成長が止まる気がしました。

シーンに合わせてデジタルも活用する

 その頃から私はビジネス書、なかでも特にノート術の本を片っ端から買い漁り、あらゆるノウハウを試し、取捨選択をするようになりました。行動を管理し、企画し、メモを取り、整理し、勉強し、目標を達成するためのノート。それからは、様々な場面でノートが私を助けてくれました。ソフトウェア開発技術者・証券アナリスト・中小企業診断士といった難関資格をいくつもとりながら仕事で成果を出し、望んだ仕事を任されるようになりました。

 会社を辞めて起業することを決めたのも、ノートの力でした。起業という道を選んでからも、ノートなしには、事業を継続することすらできなかったことでしょう。今ではイベントやオンラインサロンのマッチングや決済を提供するフラスコという仕組みを本業に、コンサルタントとして起業やビジネスの仕組化の支援をさせて頂いたり、これまで4冊の本を出版するまでになりました。サラリーマン時代よりも圧倒的に自由で好奇心にあふれ、いつでもやりたいことができて、付き合いたい人とだけ付き合い、楽しくて豊かな生活が実現できています。

 ノートは私の人生を変えてくれました。